日別アーカイブ: 2018年3月14日

はたらく仲間

春が一気に到来。今朝は冷え込みを感じることなく園内仕事も快適。タマゴを満載して配達に出掛ける足取りも軽かった。

農園から2号線へ出るまでは見通しが良い道路が続く、2軒目の配達先へ伺うため側道に入ると右手の「はなっこりー畑」に農作業中の男性の姿あり。

午前8時前、昨日までは霜がおりて手先が凍る寒さを感じる時間帯。黙々と収穫作業をする「KAVU」のパケットハットが見える。

いつもお洒落な百姓スタイル、元気印の「ムラオカさん」である。僅かな時間だったが車を止めて「はなっこりー畑」で彼の話に耳を傾けた。

ムラオカさんは異業種から農業を志し、ご夫婦で「万農塾」に入塾。2年間の農業研修を経て、今年2月から新規就農されモリモリ仕事に精を出されている。

私より2つ年下の2児の父。見た目は若く、お洒落だが農業に対する「熱量かなり多め」のおじさん。昨年から鶏糞を使って下さるようになって、次第にお付き合いが深くなった。

2月の就農と同時に「邑岡農園」と書かれた爽やかな緑のシールが張られた野菜が楠こもれびの郷に並ぶようになった。

私もお客として陳列された野菜を目で確かめて購入し、彼が丹精込めて育てた野菜を我が家の食卓で有り難く試食させて頂いた。

どれも美味しく子どもたちも喜んで食べたが、なかでも「頂花蕾(ちょうからい)」は初めて食べてファンになった。

頂花蕾とは、山口県特産「はなっこりー」の株の先についた蕾(つぼみ)のこと。ちなみにスーパーの店頭で目にする「はなっこりー」は頂花蕾を摘んだ後に伸びてくる側枝。

はなっこりーはJAの共販品種だが、蕾は共販されない部分。今までは生産者しか食べることはなかったが、ごく最近、楠こもれびの郷に限って出荷が認められ市販されるようになったそうだ。

我が家では「ごま和え」で美味しく味わったが、ムラオカさんは炒めた方が美味と勧めてくれ、とりわけ茎と葉が美味いと実物を片手に力説された。

圃場で作物を目の前に生産者から聞く話は多いに説得があり、自分がタマゴの配達中であることをウッカリ忘れるところだった。

ムラオカさんをはじめ、農園と同じ地域で、私と同じ世代の後継者、あるいは新規就農者として農業に携わる方々と鶏糞がキッカケで交流をはじめて5年ぐらいになる。

今まで近くにいながら接点がなかった農家さんとの「友達の輪」も次第に広がってきつつある。

それ以前は「不要な物を処分する」感覚で地域の先輩の方々に鶏糞を委ねていたが、同世代の農家さんに必要とされるようになりはじめて多くを学びがあり、

私自身も季節の移り変わりを圃場の作物から感じ取る感覚が少しずつ身についてきた。

それぞれ立場は違うものの、同じ地域で汗を流して働く喜びや苦労を共感できる「はたらく仲間」は大変心強く、ありがたい存在でしかない。

あだちまさし。