日別アーカイブ: 2018年3月17日

捕獲

今週から草刈りをはじめた。春の柔らかい草を2日で4時間ほどの体慣らし。

今朝、薄明るくなった草刈り済みの場所にイノシシの荒らした痕を発見して大きなため息が漏れる。

軽く舌打ちをして、鶏舎の奥に設置した「箱ワナ」に目を向けるとフタが落ち、中で激しく動く物陰が・・・。

近づいて確認すると鼻息荒いイノシシが1頭。鉄格子に頭から突進しながら必死の抵抗中である。

私が近づくと背中の毛を逆立て鼻息を荒くして威嚇してくるが、よく見るとさほど大きくなく体長約1メートル、30キロ程度のメスのイノシシ。

おそらく昨晩、鶏舎のまわりを荒らした犯人ではなかろうか。

掘り返した場所は昨年の秋に荒らした場所と同じ、ウリ坊より少し大きめで、悪さをしながらも多少愛嬌があったイノシシが冬を越えて大きくなったと推測する。

「痩せ細った」とまではいかないもののが、お世辞にも丸々太ったとは言えない肉づき。厳しい冬を山で耐えてすごし、昨年の記憶を辿りながら空腹を満たすため鶏舎に近づいてきたのだろう。

長引く寒さの冬だった。私も厳しい寒さの中での仕事が続いたのでイノシシの気持ちも痛いほどわかったが、猟師さんに「獲物がかかりました」と連絡を入れた。

9時すぎに二人の猟師さんが来園。

イノシシが暴れる箱ワナの格子の隙間から足を括るワイヤーを垂らし入れ、まずは右後足、そして右前足を括ってワナの天井に吊り上げる。

ちょうど私たちの方に腹を見せる形で吊り上げられ、猟師さんが喉元と肋骨の間にある頚動脈を慎重に確認してメスを入れた。

心臓の鼓動で押し上げられる血液が傷口から噴出し、ほどなくイノシシは絶命する。

この後、猟師さんが持ち帰り、腹を開き内臓を抜く。一晩ほど荒滝山の山水に漬けられ血抜きし、明日の午後から解体されることになる。

イノシシが繁殖する一方で、駆除を担当する猟友会のメンバーは年々減少している。農地への被害も甚大。

様々な思いが胸の中を交錯するなか、駆除を依頼した立場から一部始終を目に焼き付けた。

あだちまさし。