素晴らしいスキル

朝6時。気温14度。晴れ。最高気温25度。

今まで辛抱してきたが、午後からの配達で車のエアコンを初めて入れた。

フロントガラスから差し込む強烈な日差しで体が熱くなり、額に汗がにじみ、時折、頭が「ボッーッ」したから。

昨日、小野の農家さん3人が堆肥の受け取りに来られた。

この時期、田植え前の水田には水が入り、どこの圃場も夏野菜が実りつつ、倉庫で堆肥を保管できる農家さんに受け取りとお願いした。

約束どおり朝8時に来園され、軽トラック2台で正午前まで4往復され、運んでもらった堆肥は約20キロ入りを350袋。

3人がかりの半日仕事でフゥフゥ汗と流し運んで行かれたが、この袋詰めはFさんが一人でサラッとこなす。

通常、200袋ぐらいだが、今回は少し多めの作業になるので私も手伝う覚悟はしていたが、一人でよく頑張ってくれた。

私が配達に出ることがない日の午後に一時間弱ほど作業する時間をつくる。この一時間で40袋を袋詰めしてくる。7日間ぐらいで3人がフゥフゥして運ぶ堆肥を袋詰めするのである。

剣スコップを、スコップの重さを利用し軽く斜めに突き刺し、テコの原理で柄の一番後ろ側を軽く「ポン」と叩く。

スコップの先にのった堆肥を、柄を短く持ち直し、左手に持った袋にサクサクと詰め込み、一杯になったところで袋を右手に持ち替える。

今度は「振子の原理」でユックリと重い袋を左右に振り、イチィ、ニイィ、サンッで放り投げ、袋の山をつくって行くのである。

私も一緒に作業をすることはあるが、彼と同じペースと要領は真似できない。

私と同じ年の彼はハタチ頃、陸上自衛隊に所属していた。訓練の中で「タコ壷」と言われる、相手の攻撃から自分の身を隠す「穴」を掘る訓練があったらしい。

この訓練がかなり厳しく、スコップの扱いが上達したと聞いた。

その素晴らしいスキルを農園で存分と発揮してくれる彼に心底、頭が下がり、いつもいつも心からお礼する。

あだちまさし。