昨日は七夕

昨日は「七夕」。

6月中旬、親子で10年くらいお世話になったタマゴのお客さまから、配達を止めて欲しいと電話が入った。

昨年、肺がんが見つかり手術され退院されていたので、ご本人から詳しい話を聞かなかったが、それほど深刻な状況ではないだろうと感じていた。

「6月19日に緩和ケア病棟に移ります」と連絡を受け、電話口で簡単に病状を説明をしてもらった。

この方が入院する国立医療センターで長年、婦長をされた方がお客さまにいるので「緩和ケア病棟」について少し知識を頭に入れ、奥さまに面会予約を入れ、6月19日に伺った。

病状を聞き、頭も心も大変混乱していたが、肺を患っているとのことで長い会話は負担になると思い、気持ちを整理して二つのお願いと、私にできる約束を一つを話させて頂いた。

数えきれないほどの方から慕われている方なので、体調と病棟での生活ぶりを少しお聞きし、息子二人を面会に連れて来て良いかと尋ねると

「ユウトとショウタに話したい事。かけたい言葉が違うので別々に連れて来て欲しい」と頼まれ、部活で帰りが遅い2人を別々に家内が面会に連れて行った。

長男と次男には「緩和ケア病棟」のことは、私の出来る限りの言葉で伝え、どんな「言葉の力」を受けたか分からないが、二人とも、かなりの時間話し込んで帰ってきた。

最近、高校3年生の長男が就職先を探す様子を眺めながら、この方に「大きな心」を育ててもらった「感謝の気持ち」が一層強まり、就職が決まったら一緒に久しぶりに酒を飲みたいと心から願っていた。

寝ても覚めても頭の隅で、この方のことが気になり、体の負担になると思いながら、数日前、初産みタマゴを6個持参し面会した。

その日の朝、ドクターから「面会時間は短くして下さい」と厳しく指摘されたことを冗談まじりに話されたが、見た目にも衰弱ぶりは分かり、短い時間で病棟を後にする。

二度、足を運んだ、静かな時間が流れる「緩和ケア病棟」。50床の個室があるが、私は他の患者さんやご家族と顔を合わせることはなかった。

数日前に訪れた病棟のサロンに「七夕飾り」が飾ってあった。

願い事の短冊には、小さな子供の字で「じいちゃんが早く元気になりますように」とか書いてある短冊が多かったが、

「幸せな時間が一日でも長く続きますように」との短冊が5枚ほどあった。

この願い叶いますようにと、私も強く願った。

あだちまさし。