柳屋の千秋楽

365日、農園の仕事を終え、規格外のタマゴを納品させていただく吉部の仕出し屋「柳屋」さん。

11月下旬ごろから仕出しに加え、二階の座敷に宴会予約が入り大忙し。

年末29日からは、オードブル、刺身、おせち料理と配達やら、受け取りやらの豪華料理がカウンターに並び、表も裏もテンヤワンヤの忙しさを毎日、横目に見ながらコツコツとタマゴを納めさせていただく。

年末になると厨房に張られた大きな白い紙に予約を日ごとに書き出され、受け取り時間や配達指定時間など細かく記載されている。

毎年、口癖のように「出初式」までが年末年始、繁忙期のピーク。

出初式は毎年、一番初めの土曜日。柳屋の大きな予定表の第一日曜には、赤いペンで「千秋楽」と書いてある。

Fさんが農園で働きはじめて7年目。彼は地元の消防団に所属しており、出初式には休みをだすので、農園内の作業も出初式を中心に交代で休暇を与える。

年始の配達を休みにしながら、生産や売り上げは2倍にならないものの、現場で働く時間は2倍以上になる。

まぁ、これは仕方ない。

明日は「出初式」。Fさんは消防団の制服に身を包み行進。

私は、農園内の作業をしながら「千秋楽」を迎える。やっと新しい年を迎えた実感が湧いてきた。

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