霜を履みて堅氷至る

昨日の朝は大霜。気温マイナス3℃。前日から予測できていたので凍結防止の排水。排水口からポタポタ落とした水は氷柱になるが鶏舎の事故なく。

霜柱をジャリジャリ踏んで歩きながらFさんと朝の採卵をする。東の空が明るくなってくる時間帯が放射冷却で一気に体感温度が低下する。

園内で使うオンボロのカルディナのエンジンはかけたままで、採卵したタマゴを車に積み込む度に腰をかがめて、寒さでちぎれそうな指先をカルディナのマフラーにあてながら、交互に暖をとる。

今朝の気温は5度。昨夜からシトシト降った雨で湿度高め。

夏場の湿度高めは鶏に堪えるようだが、冬場の湿度の高い日は鶏舎の中で機嫌良く過ごしている。朝から鳴き声も穏やかなのである。

年末年始の作業の負担が体にジワジワと堪えていると感じ、こんな気持ちになると、全てのことに言い訳したくなり、些細なことでトゲトゲと人にあたってしまいがち。

それに加えて、気候が不純なので憂鬱な気持ちが追い討ちをかける。

木曜日、金曜日のマイカー出勤は厳しそうなので、コロコロと変わる予報を見ながら、園内作業と配達の段取りをイメージ。

選別パートのF井さんとYさんは農園の仕事以外で、代々からの土地で稲作や農業を営んでおられ、作業の手を動かしながら聞かせていただく「ちょっとした話」は興味深い。

幼いころから地元で育ち、時代や自然の移り変わりを肌で感じながら、自分で出来る精一杯の仕事を営んでこられた「道のり」を感じることが出来るから。

温暖化や異常気象という単語をよく耳にするので、昔と今を、それぞれお二人が感じている話しや苦労話を聞き、自分が立っている時代と、これから進んでいく僅かな光を見出したく、作業のペースを少し落としながら耳を傾ける。

今日の会話の中で、Fさんが「霜がえし」という言葉を使われた。

気候が安定しないので、昔、父から聞いた言葉は今の時代にはあてはまらないかもしれないと思うけどと後付し、説明してくださった。

先ほどまでネットで調べるものの該当する言葉はなかったが、以下のような「ことわざ」にたどり着き、厳寒を迎える「こころづもり」ができた。

霜を履みて堅氷至る(しもをふみてけんぴょういたる)
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【意味】霜を踏んで歩く時期が過ぎると、やがて硬い氷が張る寒い季節が訪れるということから、何かが起きる前の小さな兆候を見逃がすと、やがて大きな災難に見舞われることがあるということ。大事に至る前に前兆に気づくようにとの戒めのことば