声なき声

久しぶりに冷え込み少なく穏やかな朝。昨日は、氷点下6度の朝で満月が照らすキンキンの冷え込みだったが。

お客さまから「寒さで鶏は大丈夫か」とご心配いただく、今年の冬は寒さが厳しいので、例年より多めの声をかけて頂いている。

産卵率や歩留まりの悪さは若干否めないものの、日長が伸びて行く季節は産卵状況が向上する。

比較的、若い鶏がの群に大きな「二黄卵」をポツポツと混じり、初産が早く、産卵ピークに到達する期間が早い。

ありがたいことではあるが、季節の変わり目は「事故」が多い、秋口はベテランならでは事故が多く、春口は若い群に「事故」が多い。

日長が伸び、タマゴを産みたくなった若鶏が一斉に好みの巣箱に入りたがり、ラッシュアワーで一番先に入った鶏が出口を失い「圧死」することがある。

1月中旬から産卵をはじめた群の久しぶりにラッシュアワー事故あり、気がかりな毎朝の採卵作業。

「何でこうなる?」と鶏の行動に苛立ちを感じることが多々あるが、声なき声は「先回り」して耳を澄ませるしかない。

ひとつヒントが浮かび、試してみると、うまくいかない。サジを投げたくなるような経験も数え切れない。

人の心で「これなら良いだろう」と思うことでも、鶏との意思疎通は難しいのである。

かなり遠回りの人生を歩んでいると感じることがある。鶏や自然の道理を知らないままに始めた仕事なので。

よく耳にする「壁に当たる」という感覚を、毎日の気忙しさの中で見落とし、知らず知らずに四方が壁になっていることも多い。

2月は3日ほど少ないのでカレンダーをみながら、作業の予定を立てると少々胸が詰まるが。

春はすぐそこなので、顔を晴って前を向いて仕事に取り組みたい。

あだちまさし。