心あたりがある事案

昨夜、夜更かしをしたので辛い朝となった。

川へポンプを降ろし、Fさんと採卵、パック詰めをして、いつもより一時間遅れで配達へ出かけた。

赤崎神社のとなり「松原分校」が折り返し地点。ここで車の前後の荷物を入れ替える。

ちょうど、その最中に「アマゾン」からメールが入った。未納料金が発生している旨と「本日ご連絡なき場合は法的措置に入ります」と書かれ、

連絡先の電話番号「03−6709−0410 アマゾンジャパン相談係」とあり、心当たりはなかったが「法的措置」という言葉が気になり、忙しかったが電話をかけた。

電話口の男に淡々と「お名前と生年月日をお願いします」問われたので正直に答えたところ、少々待たされて

「○○というアダルトサイトの配信料が一年間未納になっており、遅延金を含めて26万円になっています」と淡々と語るのである。

身に覚えがないことだったが「26万円」に驚愕し「それは何かの間違いですよ。しかも26万円なんて持ってないし、しかも私の携帯はガラケーですよ、ガラケーからは見れないでしょ、そんなサイト」と声を荒げて畳み掛けた。

「故意にではなく、サイトのバナー広告をクリックしたガラケーのお客さまトラブルが最近、多発していますので、お客さまの過去一年間の接続状況を確認してから、こちらから折り返しご連絡いたします」と電話は切れた。

電話を切った途端に背中に寒いものが走り、膝がガクガクと震えた。声は荒げて反論したが「心あたりがある」。

つまり○○というサイトのバナー広告を見かけたことがある。といういうことは、そういった如何わしいサイトを覗いたことがある痛い腹があるのである。

ただ、私のガラケーからの閲覧は不可能であったが、それが一年前だったが記憶になく、不可抗力でバナー広告をクリックしたことがあるかもしれないと動悸が一段と早くなる。

お世話になっているドコモ店長の宮川さんに電話しようと思ったが、話の最中に「法的措置」があると困ると思い、相談係の男からの電話を待った。

折り返しの配達は気分もうつろ、26万円という額は私の判断だけでは右から左に動かせないので家内をどう説得するか落ち込み、26万円を貸してくれそうな友人の顔を思い浮かべながら返済計画などを考え憂鬱になる。

自分のスケベ心に反省し「どうぞ神さまお助け下さい」と土壇場の神頼みをしながら配達を続けた。

農園に帰るとボリュームある仕事が待っている。その後、相談係から電話はなかったが、こんな気持ちでは仕事ができないので宮川さんに電話するが留守電。

農園に帰り、顔では平静を装いながら重たい気持ちで作業を始めたところで、宮川さんから折り返しの着信があり、鶏舎の陰に隠れて、鶏にも盗み聞きされないよう背を向けて事情を説明した。

「実はアマゾンからメールがありまして・・・」と伝えると、メールは開いたんですか?電話をしたんですか?個人情報を伝えましたか?と早口で質問があり、事の顛末を伝えた。

宮川さんから「それは迷惑メールですよ」と言われ、放心で腰が砕ける。

今後の対応などをアドバイスしていただき、私の悪事は問われることはなかった。

私のスケベ心で家族に迷惑をかけることがなかったことに安堵し、ガラケーがある限り、ガラケーを愛し続けることを心に誓った。

あだちまさし。