加速度的に

「○○の身内の者ですがタマゴの支払いは幾ら残っていますか」と配達中に問い合わせあり。

先月末、入院された一人暮らしのお婆さんの娘さんからの電話だった。

毎週2パックをお届けするようになって随分と長いお付き合いになる。

一人暮らしに2パックは多いだろうと何度か尋ねたことがあったが「娘の家族が遊びに来た時に土産代わりにするから」と笑顔で話されるので同じペースでお届けして来た。

ここ数年、配達日が整形外科への通院日と重なっているようで2、3ヶ月分をまとめてご集金させていただくようなリズムになっている。

几帳面な性格の方なので、支払いが滞ったこともなく、私から特に督促もせず。

お隣に住む民生委員さんもタマゴのお客さまなので、一人暮らしされているお婆さんの様子は二週間に一度くらいのペースでお聞きし心配はしてなかった。

先月、新聞配達員がポストに3日分の新聞が溜まったので様子がおかしいと民生委員さんへ連絡。電話をするが応答がないので訪問したところ、脱水状態で身動きが取れずにいるお婆さんを見つけ緊急搬送された。

幸い命に別状はなく、意識もしっかりしていたので一時入院し、体力が回復してから、今後のことは娘さんから民生委員さんに連絡が入ると聞いていた。

その今後のことが決まったので私にも電話があったのだろう。問われるままに金額をお伝えし、振込みされるとのことで送金先を後ほどと電話を切りかけたが、

お婆さんの容態が気になり尋ねると「施設に入るようになりましたから」と。私も、それ以上は立ち入ることなく電話を切った。

農園をはじめて、タマゴをお届けはじめた頃は想像もしていなかったが、一人暮らしの高齢者に関わる同じようなケースは度々遭遇するようになった。

家族のカタチも変化し、高齢者を取り巻く環境も様々。「少子高齢化」という単語を身をもって感じ、その進む速度は自分で想像している以上のものかもしれない。

あだちまさし。