JAG07563 六さん 9月26日しんあい農園日記

 

今一番の悩みは?と問われたら答えたいことがある。

鶏の理解できない行動がそれである。各鶏舎ごとの群により多少の違いはあるが。産卵はおおむね午前中であるが、きちんと巣箱に入る鶏は、見ていると自分の専用巣箱があるようで、なにがなんでもお目当ての20センチ四方の巣箱に向かう。例え他の鶏が入って産卵していてもかき分けてでも入る。だから、信じられないことだが、狭い箱に3羽ぐらいが缶詰状態で固まっている光景は日常見られる。窮屈なところで産卵するのは、わたしにとっては勝手にせい。ぐらいで見ておける。見ておけないのは、巣の外で生む習性の鶏がいることである。

鶏舎の隅になぜか集まり、押しくら饅頭をしながらタマゴを生み落す。それはなにかにとり付かれたように角の柱を目指して押し合う。生んだタマゴは「巣外卵」といい、巣箱で生んだタマゴとわけてあつかう。平飼いなので鶏の糞で汚れる場合が多い。

あまりに巣外卵が多い鶏舎に対策をした。朝から板を切り、その板で隅の柱に行けないようガードをつくることを思いたった。こんなことは、誰が教えてくれるでもなく、現場で悩んだら出てくるアイデァでしかない。

20羽ぐらいがすごい力で固まっている隅に行き、板を打ちつけるため鶏をかきわける。離してもすぐ寄ってきて仕事にならない。で、板を振りかざして追うと、一斉に飛んで逃げ、鶏舎の中はパニックになり、粉塵ならぬ糞塵が舞い上がり、息ができないがそれで止めるわけにもゆかず続行する。余談だが、鶏舎で30分も作業した後、タオルで顔を拭うとホコリでタオルが茶色になる。健康体だからこそできる仕事で、体力が落ちれば病気に感染まちがいないように思う。

板を打ちつける最中にも、次々に鶏が押し寄せ、しゃがんで釘を打っているわたしの背中を爪をたてて登り頭にあがる鶏もいる、背中が痛いので追うとまた糞塵が舞い上がり情けない気持ちになる。この作業を4鶏舎済ませた。

4日ぐらい前から餌を食べない徳地地鶏のメスが2羽いる。仲間につつかれて頭の毛がなく、いまはチャボ小屋に隔離している。今朝こそ死んでいるだろうと、隅でペシャンコになっているカラダを触ったら、微かに呼吸をしていた。夕方、もう一度手をあてても、わずかに体温が感じられた。

---タクロウ君。どうせ死ぬなら早く死んで欲しいと思わんかね。とホウキを使いながら聞くと、帰る前にトイレを磨いている彼が「できれば元気になってほしいです」と磨きながら答えた。

朝夕、彼の日課に犬と山羊と遊ぶ時間をとっている。特に山羊のゆきちゃんは彼のお気に入りで、いまは「お手」をしつけているようだ。一日仕事したら、早く夕食を食べてくつろぎたいとわたしは思うが彼は動物にやさしい。

最初は、死んだ鶏の足を握ると冷たくなっており、その冷たさを手がいつまでも覚えており夕食があまりすすまなかったが「慣れ」で、怪我の鶏や死んだ鶏を扱うことは平気になってきた。おそらく死ぬであろう地鶏に「どうせ死ぬなら」という気持ちのわたしと、「できれば元気に」という彼と、優しさの差が見えた会話だった。

夜、冷凍うどんを解凍して、大盛り焼きうどんを野菜タップリでつくった。加藤さんからいただいた「船方農場の生乳ヨーグルト」も添えた。

00/09/27(水) 04:33 六さん(JAG07563)


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