JAG07563 六さん 10月7日しんあい農園日記

農園に人が来られると愛犬が吠えて知らせてくれる。鶏舎で作業していても来園がすぐわかる。朝、何度も吠えるが誰も来ないので犬に「うるさい」と言っていると老婆が一輪車を押して来られた。あっ、と一瞬思った。農園の対岸に粗末な小屋があり(昔は馬小屋だったと聞いている)

そこの朝鮮の老婆だった。宇部市は戦前50もの炭坑があり、一躍、宇部村から人口25万の市政がしかれた歴史がある。その坑内で組み上げる坑木は近隣の山々から切り出された。機械や牛馬が入れない険しい場所からの搬出は、中国・朝鮮人の労働力だった。その老婆も家族でこの地に来て、いまはひとり、地域との交流を絶って生きている。それは知っていた。

ばあちゃん歳はなんぼうか。と聞くと86歳という。1時間ぐらいもかけて歩いてきたという。ばあちゃんは朝鮮のどこが故郷か。といきなり聞いたので老婆は驚いたがこの言葉で多弁になった。

釜山の近くで10歳まで生活して日本に行く、日本はいいところだと言う親戚の人に頼んで一緒に福岡の飯塚に来た。朝鮮は貧しくて、飯塚での炭坑生活は苦労したがそれでも楽しかった。15歳で同胞と結婚、それから各地を歩きながらここに来た。あれだけ国のために、叩かれてまで働いたのに年金もなんもない。早く死んで楽になりたい。そんなことをなんぼうでも語りはじめた。こちらはタマゴを集めてお店に運ばないといけない。

ばあちゃん人に言うなよ。タマゴを6個このパックであげよう。このタマゴを全部食べたらまた来い。ばあちゃんが生きておるあいだはタマゴはただじゃから。きょうはこれで帰り。といまうんだタマゴを渡した。

あんたここでひとり暮らしか。ええ奥さんができるとええ。ここは朝から晩までお日様があたるええところじゃ。ありがとう ありがとう。老婆は腰をまげて帰っていった。タクロウ君に「あの婆さんがきたら、いつでも6個差し上げてくれよ」と頼んだ。

タマゴの予約やスポット売りが多くなり、1300羽ではいまはまかなえるが、半年先にはどうなるか不安がある。足りないといってすぐできるタマゴではない。最低でも3ヶ月は日にちを要する。

鶏舎を建てることが一番簡単なことではあるが、資金面から考えてもホイホイできるわけではない。夕方、再び久住高原の荒牧さんに教えを乞うた。

例えば、日齢がちがう3つの鶏舎の鶏を、分散して2つの鶏舎に押し込めたらどんな問題がおきますか。荒牧さん5万羽を飼っているお知恵を借りた。結論は、それも勉強だからやってみたらどうですか。資金面などを考えるとそれがいいでしょう。と。

最近やっと普通サイズのタマゴをうみはじめた鶏舎にはいり一羽を捕獲して、足に目印のヒモをつけ、一番古株の群に放した。雄は威嚇したりしてしばらく警戒したが、群はヒモを受け入れた。

来週、1群を4群に分散して鶏舎をあけ、追加で300羽を入れる計画をすすめていくことを決心した。月曜から雛がいるかどうか。給餌や巣箱の問題などを早急に解決して、早い時期に手を打とうと思う。少々強気の経営になるが、足りないという悩みよりいいと判断した。

明日は日曜。雨模様と報じている。1馬力で頑張る日である。

00/10/08(日) 05:03 六さん(JAG07563)

 

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