JAG07563 六さん 3月17日しんあい農園日記


おかげさまで、よい旅を終えさきほど高山君に自宅まで送っていただいた。正志はまだ農園から帰らないので机に向かっている。

ナザレ園を訪れる人たちの気持ちはわからない。けれど多くの人が涙して園を後にされる。わたしもいつもそうである。しかし、わたしはおばあさんたちの人生を不幸だと思わなくなってきた。強く素敵な女だと思えてならない。

戦前、戦中に朝鮮人の男性を愛したこと。その愛する男性とともに海を渡るという決心は、家族など全部の反対を押しきって愛を貫かれた。上坂冬子著「慶州ナザレ園」でも、困難な生活のなかで生きる人を金龍成先生が大きな人間愛で手を差延べた。という不幸な女が救われたかのようにあらわされているが、わたしは、最愛の夫と過ごした短い時間でも女の幸せをつくりあげた強い女であると思っていた。

杉本さんと帰りの新幹線で同席して彼女が「足立さん、あの人たちは決して弱くはないですよ。強いのですよ。松村さんが、ご主人の思い出はありますか。と聞かれたとき、それはやさしい主人でした。と笑顔が出ました」と言う。杉本さんの言葉に我が意を得たり!そう、時間の長さではなく、短くても密度だと思う。

敗戦後、日本を出るときは朝鮮人を差別してきた側の日本人として、海を渡ればそれ以上の偏見が彼女たちをむかえることは承知のうえで腹を決めた。そこまで夫を愛したわけで、それは幸せだと思う。

おばあさんたちからいただく声なき声を感じる旅を続けなければ。

02/03/17(日) 19:22 六さん(JAG07563)

 


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