六さん 9月10日しんあい農園日記


 

わたしが鶏を飼いはじめて、出入りする車のホコリで部屋が汚れると苦情をいつも言う近くの老人がいる。その老人は早朝から草刈機をすごい騒音で使う。いつか冗談で「草刈機の音で目が覚める」といったら「あたり前じゃ、田舎がまだわからんか」と。今朝は薄暗い5時半から、わたしが生活している隣の畑に耕運機をいれてエンジン音とすごい土ボコリを舞い上げて「あたり前」の仕事をされた。自然にいだかれて気持ちのいい田舎暮らしにはならない朝もある。

先日「聞き書きボランティア」をテレビみた。ふつうに生きてこられたご老人の 人生を聞き取り、文字に残すという作業だった。以前、鍼灸師の村田さんから 「老人は一冊の小説ほどの歴史がある」と教えられた。番組でもつくづくそう感 じた。

なかでも90歳の老婆。5人の娘を育て、すでに3人の娘を亡くしておられる。 仏壇の下から、その亡くなられたひとりが就職に発つとき切り落とした「おさげ」をおもむろに取り出された。数十年前の黒髪が妙に存在感を感じさせた。遺言で「わたしの棺にこの黒髪を入れてください」と書かれていた。その老婆が「変えられない運命はある。それを受け入れねば」と最後に言葉を結ばれた。

娘の死をも受け入れるという。わたしは、まだまだ軽いところで、変えられないことを変えようともがいていることが多い。

02/09/10(火) 17:40 六さん(JAG07563)

 


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