六さん １２月２０日しんあい農園日記

半月ほど前、美祢市のセメント工場から有害な薬品が川に流れた。下流の山陽町はこの川から取水して水道として利用していたので取水を止めた「基準値を９０倍も上回る危険な数値が観測された。

その山陽町厚狭の旧国道は、現在の国道からよく眺めることができ、街を流れる川にかかる昔の橋のたたずまいがとてもわたしは好きである。最近、吉部中学校の安永先生のご実家に木曜に配達に行くことになり、お宅はその橋のたもとにある。橋に車を停めて駆け足で卵をお届けする。きれいな川には鯉が泳ぎ、渡り鳥も羽根をやすめる。いつも足をとめて川を眺める楽しみが増えていた。

基準値は３日ほどでもとに戻り、通常の取水がはじまり生活はもとにもどった。そのことを地元の報道はこまかく報じていた。けれど、いまは鯉は一匹もいない。死んで腐敗した魚が川底に横たわっている。基準値がいかに人間本位であるか。また食品に添加される化学物質もおなじ「基準」である。水が使えない不便さから解放されこの話題はきえた。しかし、生き物が死に絶えた川のことを言う人は誰もいなかった。

有明海、中海と生活権にかかわる漁業影響のことは話題になるけれど、それも人間本位であり、もっと根本的なところからの論議が要ると思う。

02/12/20(金) 20:01 足立　進(JAG07563)