六さん 4月　2日しんあい農園日記

先生は幼いころ磯村の家に養女にこられた。両親から赤い帽子をかぶらせてもらって。そのことを随筆で読んだことがある。いまでも外出では必ずお洒落な帽子であるのはそのせいだと。俳画や俳句、習字などを教えておられる通称レッスン場には壁一面に鏡がある。バレーをされていたお嬢さんに、学校の退職金で建てられたものである。その建築のすぐあとお嬢さんは病気で亡くなられた。ご主人もはやく亡くされた。地域の戦争未亡人を全員訪問され、戦地から届いた手紙やこれまで生きてきたご苦労を聞き書きしておられる。そういう先生の人生を聞きながら、それがわたしの糧になる。

天気の日には畑で野菜をつくり雨の日は読書三昧。野菜もほとんどはご近所にわけてさしあげ、本は古本屋で選ぶといわれる。まいにち５枚以上の原稿用紙に、その日に感じたことを、誰に見せるでもなく書いておられる。たまに先生の表情になり「ええかね足立君、読むこと。書くことを大事にせんと」きのうもいわれた。

農園にきてから読書の時間がなくなった。新聞がこないので読むことは少ない。たまに頂戴した本を読むぐらいで、自分から求めることがなくなった。心豊かにいきるには読書が大切だと思った。明日は下関市内で一冊買うことにした。

03/04/02(水) 19:50 足立　進(JAG07563)