六さん 12月 9日しんあい農園日記

マイナス2度の朝、こうこうとした満月が西に遠ざかり夜が明けて外に出た。

井戸の水位を見に行った。期待どうり水位はあがっていた。この水位は、砂利を10トンちかくも埋めて地下の水タンクを拡げた水位であり、これまでのようにグングン下がる水位ではない。もう嬉しくて犬を抱き上げた。

きのう夕暮れどきに山本社長が来て「もう一度掘り返しなさい」と、言葉は丁寧であるけれど、強い口調で作業している3名に指示をした。要は山本社長が計画していた砂利を大量に残して埋めていたのである。わたしも気が付いてはいたけれど、この夕暮れの時間ではと思い言葉にしなかった。

「暗くなろうが、仕事はきちんと終わらなければいけませんからね」と言う。ライトを点灯して重機が3メートルの深さで再び大きな穴を掘り、残していた砂利を埋めて整地までした。肩で風をきる年輩のオペレーターは不満な面もちではあるけれど、山本さんの毅然とした態度には従っていた。

今朝、色つき眼鏡のそのおじさんが来てニヤリと笑みを浮かべた。井戸の水位があがっていたからである。「あがったじゃないか」と言うので「あんたのおかげです」と言ったら照れていた。

わたしの会話は冗談が多すぎるけれど、山本さんの会話には無駄がなく強い。何度も現場に来てはおおきな目を光らせて指摘をする。その的確な指摘が人を育てる。プロレスの天山に似たピアスのお兄さんも山本さんの前では緊張していた。甘い言葉だけでは人は育たないなあ。

今夜から湯船にお湯をはることにした。いつもシャワーで足先が冷たくなっていたけれど、水問題が解消したのであたたかくなった。水の大切さはこれからさき忘れることはないだろう。

03/12/09(火) 19:36 足立　進(JAG07563)