六さん 7月11日しんあい農園日記
理由を聞かれたら「お世話になっている荒川さんをご案内したい」と言うだろうが、実のところは、大好きな風景に癒されたいという個人的気持ちがまさっている。「うまい店を知っているから」と仲間を案内する。そんな日帰りの旅をした。
朝の採卵をおえてシャワーで汗をながし、10時前に下関を発ち添田町から宝珠山にぬける林道に車をいれた。落石注意の看板が多い山道をぬけ、頂上にのぼりつめると眼下には棚田が一面にひろがる。田植えがおわり元気のよい苗が風になびく風景はみごとである。
この壮大な棚田がいつできたのかはわからいけれど、人の頭ほどの大きさの石を積み上げ生活の糧を得てきたご苦労は、察してあまりある。だから棚田には感動がある。
そして小鹿田焼きの窯元。山奥の小さな集落に10軒の窯元がよりそい、山から流れ出る豊富な水を受けて、粘土をこねるのは巨大な木の「きね」である。
ドーン!ドスッン!ギーッと集落にある「きね」は年中、四六時中大地をゆるがしてリズムを刻む。素朴な作品を買いたくなったら呼び鈴を押して支払いをするという無人の売り場。この風情がわたしは好きである。
日田から日出(ひじ)まで高速移動して城下町杵築。ここを代表する場所は「酢屋の坂道」であり、画家の石原先生が東京から通いつづけて完成した作品は農園に飾っている。武家屋敷の大原邸、大黒柱で有名な綾部のお味噌屋など土塀をめぐった。
最後は安心院町に残る「鏝絵」を少しご案内した。昔の建築では大工や左官など職人が遠方から来て逗留して家をつくった。その間にお世話になった施主に、お礼の気持ちで左官が漆喰の壁に鏝(こて)で縁起物の虎、鶴などの作品を残している。
全走行約5000キロ。今夜は気持ちよく眠れる。
04/07/11(日) 21:25 足立 進(JAG07563)
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