六さん　平成17年2月10日　しんあい農園日記

午後3時前に美祢市の山奥3軒の配達地域に着いた。品川さんのお宅では最初に太い鉄格子にいる大型犬3頭に挨拶をする。太い前足で撫でられると傷になる。じょうずに手を差し込んで頭を撫ぜてやる。

そばの小屋で話し声がするので目をうつしたらまだ殺したばかりの猪がワイヤーで逆さに吊られて血抜きされていた。この犬たちが仕留めた40キロだと男は言う。鋭いナイフにはまだ血がついておる。

言葉が広島弁なので「あんた広島か」と聞いたら「家は厚保(近く)だけど、住まいは総領町だ」と大柄の男は言う。「総領町役場前の大判焼きはうまいね」と、わたしの得意分野は役にたつ。仲良くなりしばらく会話を交わして「今度、農園を訪ねて行くから」と別れた。総領で「卵油」を製造しており卵には関心があるという。

農園到着前、4時ごろ岡山県早島の玉井先生(金光教教師)から着信した。「あんた、神戸の震災のときわたしにくれた手紙を覚えているか」と言われる。

震災2日後の神戸は燃えさかり、わたしは先生に「神も仏もあるもんか」とやりきれない気持ちの手紙を出した。返事は速達で届いた。「ええか、神様は全知全能ではないんぞ」がその内容だった。

その教えは今でもわたしの心に生きている。「しっかり覚えておりますよ」と申し上げた。東京のある方が、そのやりきれないわたしの怒りの文面をみて、いま執筆中の本の内容にしたいと言われるので農園に行かせてもええか、と言われるので「よろこんで！」とお返事させていただいた。

05/02/10(木) 19:52 足立　進(JAG07563)