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研磨

昨日、熱中症警戒アラートが着信した。
記録的に早い梅雨明けから、7月に入って「戻り梅雨」のような悪天候が続いていた。朝晩は過ごしやすい気温が続き、鶏の産卵状況も順調。小野湖の渇水も、積乱雲が線状に並ぶ「線状降水帯」がもたらした大雨で節水制限も解除され、異常な気象ながらも心配事は一つ減った。いよいよ本格的な暑さが続く見通しで、これからは鶏の産卵状況の下降線から目が離せなくなり、くわえて、草刈り作業も辛抱の時期にさしかかってくる。

農園で頼りにしている男性は草刈り作業がお気に入り。空いた時間をつくっては草刈機を担いでくれる。「刈りたいけど草がのびてこん」との名言をずいぶん前につぶやいたことがあり、放っておくと本業とのバランスが入れ替わってしまうので、それはそれで多少注意が必要ではある。

私と違い、農家育ちの彼。口数は少ないものの、さまざまな農作業に自信を持っているようで、自主的にこなしてくれる作業には「活力」がみなぎっている。その取り掛かりや、作業をする姿は「やる気のバロメーター」でもあるので、多少のことには目をつぶり、気づかれないように遠くからそっと見守るようにしている。

ここ数年、私はお気に入りの「チップソー」で草刈りをしていたが、刃こぼれが不経済なので、研磨の手間が増えるが、農家のスタンダード「八枚刃」に代えてみようかと彼に何気ない打診をした。その翌日、頼んでもいない新品の「八枚刃」と、家庭で使用していた研磨機を持参してきて驚いた。このあたりが彼のわかりやすくもあり、難しいところでもある。

多くは語らないが研磨には自信があるようなので、黙ってそれに従い、使用済みの八枚刃の研磨を依頼する。表情は変えないが手際は良い、真剣なまなざしの奥には、やはり自信が伺える。その時間、私はそばであれこれを質問し、貴重なコミュニケーションの時間にもなる。「しめた」と思った。

今までも彼が持ち味を生かそうと、自主的に取り組んだことは幾つかあった。全部がうまくいった訳ではなく、失敗も重ねてきた。結果の善し悪しは別にして、お互いに認め合う時間は信頼関係を厚くしてくれる。得意な仕事で自信をふくらませて、それをテコにして活力も大きく育んでほしい。

2022.07.27 あだちまさし