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ミヤコワスレ

お世話になったNさんの奥さまが、お亡くなりなったとの知らせを受けたのは今月中旬のことでした。初めてお会いした時から、重い呼吸器の病を患っておられましたので、いままでの玄関先でのことを思い出しながら、ご冥福を心から祈りました。

五年くらい前からのお付き合いだったと記憶しています。初めてお会いした時から、病の重さは私にもわかりました。ご本人が制約の多い日常の中で、毎日を丁寧に生きておられるのはひしひしと伝わってきました。お届けに伺った際の短い会話は、当たり前の事がそう長くは続かないことを意識しながら、そのひとつひとつが私の貴重な糧になりました。

書道や華道にくわしく、なんとなくボンヤリとした浅い知識を、奥さまとの会話で少し骨太になりました。また、厚い信仰心をお持ちの方で、いつも自分が生かされていることを実感し、大きな力に気づいて感謝する姿勢に私はいつも勇気づけられました。ちょうど経験したことがないコロナ禍の大きな不安の中だったこともあり、大切な心の満たし方を教わったように感じています。

もうお会いできない寂しさはありますが、いままでの感謝の気持ちをカタチにしてお伝えしたくて花の寄せ植えを届けました。最近、お付き合いができた小野田市の種苗店の友人がつくってくれた植木鉢には、白いマーガレットと青紫のミヤコワスレ、それに鮮やかな色の小さな花。なかでもミヤコワスレは、これから開きそうなたくさんの蕾があり、長く温かい気持ちにさせてくれそうです。

いつも配達で伺う際に、目にしていた玄関前の花壇は壁にそって細長くのびています。午前中は日当たりよく、壁が西日を遮っていますので、花壇に植えられている季節の花はいつも瑞々しさを保っています。その片隅に寄せ植えをお供えさせて頂きました。

ミヤコワスレの花言葉には「別れ」の言葉がたくさん並んでいます。その中に「忘れ得ぬ人」という単語を見つけました。Nさんは私にとって、まさにそんな人です。

2024.4.25 あだちまさし