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意図

先週、春をつげる長い雨がふって、農園の桜が開花しました。
今年の桜の花は、やわらかくフワッと咲きましたので、キレイに咲き揃うか心配をしましたが、今日の午後あたりから満開の見ごろをむかえました。お客さまの来園が多い週末まで、心を和ませて欲しいと願っています。

鶏の産卵も季節によって変化します。産卵時間、産み落とすタマゴの様子や鶏の状態など季節によって様々です。今年は、ちょうど春分の日を境に季節が変わったように感じました。長かった寒い冬のトンネルをぬけて、束の間の安定期に入りました。

季節の変わり目は、私たちも体調をくずしがちで、先週の火曜日は、聴覚に障害があるミユキさんと二人仕事になりました。時計の針を刻むように淡々と仕事をこなす彼女に負けないように、わたしも二人分の仕事を精一杯こなしました。

彼女が農園で働きはじめて、もう少しで二十年になります。以前は電池が切れたように二、三日休むことがありましたが、ここ五年くらい前から欠勤はほとんどなく、バスで通勤してくる彼女が朝寝坊をして遅刻したことも、いままで一度もありません。決まった時間にキチンと出勤する彼女の姿は、農園に安心と安定をあたえてくれています。とりわけ、彼女が一人で担当している鶏への給餌については、日々の積み重ねで身に付けた仕事の正確さや、彼女の体力に誰もかないません。

障害に対する配慮を充分に出来ているか私自身に問い直すと、気恥ずかしさを感じることも多くあります。いろいろな失敗を重ねながらすすんできました。彼女自身が理解しようと、見よう見まねでつかんだポイントやコツに助けられている場面も日々の仕事のなかで増えてきました。

最近、彼女の積極的に取り組む姿勢に対して、私が欠けていた点に「意図」を伝えることへの配慮不足をよく感じます。より良い仕事を進めていくうえで、丁寧に意図を伝える粘り強さを私が持つこと大切だと思います。「そうだったんだ」という場面が増えるよう、共感や共有する気持ちをより深めていきたいと感じています。

2023.3.27 あだちまさし