月別アーカイブ: 2017年10月

足あと

6月ごろから隣接する耕作放棄地をイノシシが荒らすようになった。

農園の外周は魚網を再利用した「防獣ネット」で侵入を防いでいるが、7月の一番暑い時期、隣接する耕作放棄地の境界に新たな防獣ネットを50mほど。大量の汗をかきながら設置し、警戒心の強いイノシシから、しばらくの間、農園を守ることができた。

非常に神経質で警戒心の強い動物なので、普段より見慣れないものがあると避けるように行動するのである。

イノシシが掘り返しながら胃袋を満たす作業を続けると農地はデコボコになり、雨が降ると水溜りになる。そこに微生物なりミミズが湧き、更に水溜りが大きくなり沼のようなプールが出来ると、今度は体についたダニなどの寄生虫を落とすためにノタウチまわり、耕作放棄地はイノシシの格好の遊び場となる。今まで田畑だった農地が荒れていく様を多く目にしてきた。

ただ、イノシシも荒れていく山で腹を満たすことが出来ず仕方なく命をつなぐため、人里へ近づいてくるので、なるべくなら「防獣ネット」で「防ぐ」という段階でお互いのテリトリーを守りたいと考えて、彼らの行動や「足あと」を見守る日々。

ところが、8月下旬ごろ、腹を空かせて我慢できなくなった「ウリ坊」2頭、日没前にネットを破って侵入するようになった。朝から採卵し、パック詰めしたタマゴをお客さまに届けようと車に積み込み出発する頃に姿を見せ、追いかけると狼狽してネットにぶつかりながら、緩んだ隙間から逃げたり、時にはネットを噛みちぎり逃げる。

どこから侵入してくるのか明け方に獣道の「足あと」を確認し、ネットの補修をする。しかし、配達に出発しようと車のエンジンをかけると2頭のウリ坊が走り回るという「イタチゴッコ」がしばらく続いた。

鼻の先からシッポまでが30cmほどの縞模様のウリ坊。「こらぁー」と追いかけると瞬きしながら尻尾を振り、とても愛くるしいが一年半ほどで成獣になる。

一週間、足あとや行動パターンを観察しながら、猟師に相談した。ねぐらは川の傍にある雑木林。日中、姿は見せないが母親も一緒に住み着いているようだ。

ちょうど栗の実が落ちる少し前の時期、猟師曰く「腹を空かせて仕方がないウリ坊はすぐ捕まりますから」ということで、箱罠を設置して帰られた。

縦横90cm、奥行き180cmの鉄格子の箱のフタをワイヤーで吊り上げ、罠の奥にある「蹴り糸」に触れると留め金が外れ「ガシャン」とフタが落ちて御用になる仕組み。

イノシシをおびき寄せるため箱罠の床には米糠をまく。糠とは稲の一番栄養価が高い胚芽。これが好物。水分を含み発酵してくると酸っぱい匂いを漂わせ、そこに微生物が繁殖するとイノシシは食べたい衝動が我慢できなくなると猟師は力説して帰られた。

箱罠を仕掛けて、しばらく経った10月中旬、警戒心を少し解いたイノシシ親子が罠の近くに「足あと」と「傷跡」と残すようになり、数日後には一歩、一歩と糠を食べながら、仕掛けの「蹴り糸」に近づいてきた。

猟師に「足あと」などを確認してもらい「もう時間の問題ですから」とお墨付きを頂いた翌日の朝、罠のフタがガシャンと落ちる。

しかし、鉄格子の檻に獲物の姿なし。イタチか子タヌキが蹴り糸に触れ、格子の間から逃げたような「足あと」のみ。フタが落ちる大きな音を聞いたか、その場面に出くわしたか分からないが警戒したイノシシが近寄ることは少なくなった。

山が荒れて人里でイノシシの被害が相次ぐ話しは宇部市の北部で仕事をしていると耳にすることが多くある。

山が荒れる一つの原因としては、放置された人工針葉樹林。広葉樹を伐採しながらスギやヒノキを植林した山が、様々な問題を抱えながら間伐されず放置されている。近年、問題になっている花粉も、このあたりからではなかろうか。

針葉樹は落葉することなく大きくなるが、大木になったスギやヒノキに覆われた森は日照条件が悪く、下草などの「命」が育ち難い環境にあり、動物が好む木の実を落とす広葉樹のクヌギやコナラなどが生育し辛い環境を生み出すと聞いている。

広葉樹は、小さな「どんぐり」を落としながら、秋になると落葉し、年々、積み重なった腐葉土には微生物が繁殖し、山のダムと言われるような「治水力」も兼ね備えている。

針葉樹が真っ直ぐ根を張るのに対して、広葉樹は枝が横に広がるように根を伸ばすことから「治山」にも一役買っているそうだ。

このような大きな自然の営みに目を向けたとき、イノシシの「足あと」に一喜一憂する自分の存在を、とてつもなく小さく感じ、なんとも言えない気持ちになる。

あだちまさし。

「食は生命なり」がコンセプトのパン屋さん

昨日、ブリオシュ(La Brioche )のお客さまからHPよりメールを頂いた。

福岡市、大濠公園の入口にあるパン屋さん「La Brioche 」。十数年前の開店以来、農園のタマゴを使っていただいている。

店舗に足を運んだことはないが、オーナーの沖社長は私どもが開園してからのお付き合いで、当初は山口市「サビエル記念聖堂」下にあるホテル「 La Francesca」の総支配人であった。

雨の降る中、傘を差してフランチェスカの駐車場で自ら車の誘導をする姿。厨房で料理のチェックをしながら陣頭指揮をとられる姿に感動を頂き、今も変わらずお引き立て頂いていることに、お客さまのメールから感謝の気持ちを改めて感じた。

ブリオシュのコンセプト「食は生命なり」。ほとんど無休で素材そのものにこだわった自家製パンを提供されている。

随分お会いしてないが沖社長が毎日、真剣に「パンづくり」をされている姿は目に浮かぶ。

昨日、メールの交換をしたブリオシュのお客さまに、以下のメールを返信させていただいた。ちょっと長くて読み苦しいと我ながら感じる。

・・・・

昨日はブリオシュさまを通じて、私どものタマゴに関心を寄せていただき心よりお礼申し上げます。

お客さまが贔屓にしていた農場のタマゴに最近、ご不満を感じている旨、何度かメールの交換をさせていただき少し理解できました。

飼育方法、流通形態は養鶏場によって異なりますので、一概に私の考えだけが正しいとは限らないですが箇条書きにて返信させていただきます。

○タマゴの「旬」について

人間と同様、鶏も夏場に体力を消耗し「夏バテ状態」になり産卵が低下します。これはケージ飼いでも平飼いでも同じです。

鶏は人間より体温が高く、汗腺がありません。その上、年中、羽毛布団を身にまとっています。

夏場は飼料の摂取量が減少し、水分をたくさん摂取しながら排泄などで体温を整えるため、割卵した際、黄身に張りがない。白身が流れるという状況が発生すること多いです。

これは私どもに限ったことではありません。見た目や味が少し落ちるかもしれませんが、暑さに耐え、産卵したタマゴは、やはり貴重な命の恵みの食材だとご理解いただけると幸いです。

一方で、これから冬を迎える時期、鶏の飼料摂取量は多くなり、水分の摂取量は少なくなります。

味の数値化をしたことはありませんが、黄身の張りや濃厚卵白の盛り上がりも大きくなり、卵殻は夏場異常に厚くなり、タマゴ自体の「卵重」が増えていきます。

寒の入りから、春分までが滋養の高いタマゴと昔から信じられていることを私も最近知りました。俳句の季語に「寒たまご」とあるようです。

○タマゴの「風味」「匂い」について

私どものお客さまから「タマゴの風味が良い」とか「タマゴの臭みがない」と大変有り難いお言葉をいただきますが、飼育方法や飼料への添加物で、それほど大きな違いが出てくるようには感じません。

声を大きくしてお客さまに説明することはありませんが、とにかく「鮮度」が一番で、生産者が直接、食卓へお届けする「安心感」で満足していただいていると感じています。

初めて来園されるお客さまが「これは今日のタマゴですか?」とか「生で食べても大丈夫か?」と質問されることは多々あるのですが、

あくまで個人的な見解ですが、タマゴの風味や卵黄の濃厚さを、より実感できるのは「半熟」だと思いますので、タマゴかけご飯より、半熟の目玉焼きか、温泉タマゴ、ポーチドエッグで味わってみて下さいとお勧めしてます。

それと、鮮度を試して頂くには「ゆでタマゴ」が一番かもしれません。

タマゴは産卵直後から、卵殻にある「気孔」から水分が蒸発していきます。たまごは「命」の塊で呼吸してますから。

新鮮なタマゴほど、ゆでタマゴを作った際に、殻と白身が引っ付いて「ツルン」と剥けない厄介なことになります。茹でる前に少し手を加えると上手に剥けるのですが、

殻の中にある「命の塊」がパンパンになっている状態で、新鮮なタマゴほど、このような状態になります。タマゴは「鮮度」です。

○殻の浸み、アザについて

殻が赤いタマゴは「殻の赤さ」が大切になってきます。殻にシミがあったとしても中身に問題はありません。

若い鶏でも、時折、卵殻にソバカスがつく場合がありますが、他社の基準は分かりませんが、中身に問題がないしても、私たちの農場では加工を専門とするお客さまへ販売しています。

現在、スーパー等の店頭で「赤玉」「白玉」の価格差はありませんが、以前、「赤玉」が「白玉」より値段が高値だったのは訳があります。

初産は白い鶏、赤い鶏も150日前後からと変わりませんが、産卵ピークを越え、飼料効率が悪くなる時期が白い鶏は700日前後に対して、赤い鶏は450日前後と安定した産卵期間が短いため少し高めの値段設定がされていました。

先に述べました「殻の赤さ」は中身に問題はないのですが、産卵率が落ち、産卵後期に達すると卵殻にソバカスやシミが出来るのが赤鶏の特徴であります。

消費するお客さまは、どうしても先入観が働きますので、栄養上問題ないと、餌や飼育方法を前面に説明する方法もありますが、

実は、適正な時期に鶏を淘汰し、新しい鶏を入れるのが「養鶏の基本」だと、最近、つくづく思います。

お客さまが購入されていたタマゴに、シミやソバカスが多いのであったとしたら、もしかすると鶏の「更新」に少し問題があったのかもしれません。

これは私の想像ですが。

長々と書きましたが、私が伝えたいことは、やはり「鮮度」。その後、「こだわり」。

「食は生命なり」のコンセプトを大事にパン作りをされる La Brioche さまからご縁を頂いたことに感謝いたします。

あだちまさし。

これからがタマゴの旬

昨日は終日、豪雨。配達中に渡る川は水かさがマックスだった。

山口の椹野川、防府の佐波川、光の島田川。当然、農園のそばを流れる厚東川の支流も濁流で、木ノ瀬橋の根元付近まで水位が上がった。

金曜日の配達は走行距離が長く、体力的に限界を感じるが、農園へ帰る際、厚東川へ注ぐ小さな川も決壊寸前で、荒滝山から下ってくる雨水も相当な量、道路に溢れていたので、農園周辺の土砂崩れも心配だったのでIさんを帰りの配達の助手席に乗せ自宅まで送迎。

今年は空梅雨で厚東川の水が、ここまで上がったのは初めて。

今朝は少し早めに車のエンジンをかけ、彼女が通勤する県道や、その周辺などで土砂崩れがないか確認しながら農園へむかったが、心配するほどの山の崩れはなかった。

夕暮れ時が日々早くなる時期。鶏は「日長」で季節を感じ、産卵をするのでストレスフリーの平飼い飼育をしているが、朝の点灯管理は重要になる。

農園では、太陽が沈むのが早くなると朝の点灯を少しずつ早くし、冬至を境に太陽が沈むのが長くなると朝の点灯を少しずつ遅くする。

夕方は、夕暮れにまかせて鶏は就寝するので朝の点灯時間で管理している。

日中はせわしなく鶏は活動する。餌を食べ、水を飲み、羽を整えたり、砂浴びをしたり、そんな一日を過ごしながら朝の重要な仕事「産卵」をする。

日中の活動時間が何時間が最適とか、日照時間はこれぐらい必要とかマニュアルにはあるが、最近の気候は予測不可能なので、

産卵状況や鶏舎の中の鶏の様子を観察しながら点灯時間を少しずつ調整する。

○○ルクスを超えると駄目とあるが、私が基準としているのは、夕方、新聞の活字が電気をつけないと読み辛くなるのを基準として、朝から鶏舎の鶏の様子を観察する。

出荷の都合で、点灯時間が早すぎると時折、居眠りしている鶏がいるの無視して点灯時間を上げていくとストレスを感じ、春先から悪い癖が出るのである。

これからの時期、飼料の摂取量も増え、春先までタマゴの「旬」をむかえることとなるが、朝の集卵が大変な時期。

鶏たちは毎日の産卵に備え、しっかり餌を食べ、皮下脂肪を蓄えて体力をつけ、グッと締まった滋養の高いタマゴを産み落とす。

鶏と共に働く私たちは、布団が名残惜しい季節をむかえるが、グッと堪えて早起きする。

これから「冬至」まで、あと「寒」がぬけ、春の足音が聞こえるまでは早朝の「気合」が必要になってくる。

あまり気さくな営業トークは出来ないが、自然のサイクルに合わせ「旬」をむかえるタマゴの味をお客さまが感じていただけるよう、

朝の仕事を前倒しにしながら、共に働く仲間の気持ちの「ゆとり」を作っていきたい。

あだちまさし。

小さな小学校の運動会

今朝、Fさんが「梅干し」をぶら下げ出勤してきた。お母さんが6月漬けた自家製。

「母さんからです」。小瓶に小分けしたお裾分けである。いつものように少しオーバーなお礼を言い、お互い仕事に取り掛かる。

久しぶりの三連休を過ごした彼の表情は、いつもの休み明けより、少し表情が柔らかいような感じがした。

10月1日は、小さな「吉部小学校」の運動会。彼と同居する甥の「まぁくん」は今年、小学3年生。

まぁくんが小学校に入学した3年前から、半ば無理やり運動会がある日は彼に休みを与え「行って来たら」と背中を押してやる。

当初、「行っても行かんでも、どうでもええ」と投げやりだった彼が、昨年は「本当に日曜日に休んでエエんですか?」と心配して尋ね。

今年は当たり前のように地域の行事へ参加した。

過疎化が進む吉部地域の人口は800人弱。20区に区割りされた自治会で組織され、学校行事を地域を上げて盛り上げる。

小学校在校生は24人。盛り上げる方々も年々、高齢化していく中、40代のFさんは「若手」に分類される。

私たちが、この地域で仕事を始めた頃は小さいながらも幼稚園あり、中学校もあったので、幼稚園、小学校、中学校合同の運動会が開かれていた。

当時から地域で少ない子供たちを支え、運動会を運営し、「うなぎの掴み取り」など面白い競技があり、私が仕事を終える時間帯は、かなり気持ちが良くなったオジサンたちが千鳥足でお土産を持って帰る姿が風物詩であった。

過疎化が加速し、幼稚園は閉園。中学校は船木中学校と統合した。今年は、小学生24人を吉部の皆さんが応援し、一緒に汗を流す運動会。

時期的に、10月はじめに行われるのは農繁期、つまり「稲刈り」を終えるこの時期が、地域では一番、人が集まり易い時期でもある。

パートのF井さんの自治会には小学生が2人。朝早くから自治会参加者の弁当を集会所で手作りして運動会を盛り上げ、同じ自治会の小学生2人を応援する。

Fさんの自治会の小学生は1人。彼の甥「まぁくん」が地域のスーパースターになるのが、ここ3年。吉部小学校の3年生は2人らしい。

午前中は小学生のプログラムが多く、午後からは自治会対抗プログラムが多く組まれている。

Fさんも対抗リレーに参加予定だったが、下関に住む姉夫婦が運動会に参加してくれたため、義兄に出番を譲ったようである。

リレーの様子を聞きながら、本当は彼が走りたかったのではなかろうかと想像し「義兄よりあなたの方が早かったのでは?」と尋ねると。

「うん。。まぁ。。そんな感じはした」とポツリと返事。私にしてみると少々、残念な気持ちしたが、彼の「持ち味」とは良くも悪くも、こういう性分。

ただ、開会から閉会まで、テントの陰で運動会を見学した彼の姿は、家族の一員、地域の一員として「まぁくん」の記憶に残っただろう。

彼が農園で仕事をはじめて6年が経過した。対人関係が苦手な彼は在宅期間も長かった。

小さな集落の吉部では彼が生まれた時から知っている住民ばかりで、私たちと一緒に仕事をはじめたころは、タマゴを買い求めに来られる地域のお客さまから

「よく親方の話しを聞いて頑張らんにゃぁいけんよ!」と励ましというか、脅しというか、そんな言葉をかけられ、

小さな声で「はい」と返事する彼の姿は、ことのほか小さく見えた。

3年前から参加するようになった地域行事で、最近は「よう頑張っちょる」を同じ自治会の方から声をかけられると彼から聞いた。

自分の気持ちを上手にコトバで伝えられない彼は、孤立感や孤独感を人一倍多く感じ、半ば「どうせ言っても聞いてくれない」という諦めをつねに感じていたのではないだろうか。

そんな彼が40代になって、自己肯定感を強く深く持つためには、私の毎日の言葉かけより、同じ地域で彼の成長を見守っていた隣人の「一言」の変化が心に響くことと信じている。

あだちまさし。

ずぶ濡れのヒナが今朝届いた。

ジャァージャァー降りの雨の中、月曜日が始まった。

今朝はヒナの入荷日。ずぶ濡れのヒナが今朝届く。

今回は、育すう場の都合で5日程度遅い。それほど農園には問題ないが餌の負担が育すう場に5日分増しで増える。

私どもの都合で入荷日が大幅に遅れる場合は一日あたり幾らという具合で餌代が請求金額に上増しになるが、今回は育すう場の都合なのでサービス。

今月はたくさんの出荷が重なり、搬送用のトラックと人手が足らず、農園の配達が後回しになった。数百羽の納品は育すう場では最小ロット。仕方ない。

今月の出荷が多いということは、最低でも半年前から注文を受け付けているはずである。

育すう場というのは、ふ卵場からヒヨコを仕入れ、産卵を開始する120日前後まで伝染病予防のワクチンや、成長段階にあわせ栄養管理した飼料を与え、養鶏場の利益を増やすために丁寧にヒナを育てるのが仕事。

120日前というと6月。4ヶ月前ふ化したヒナが今日届くわけで、タマゴが急に必要になった養鶏場が電話一本でお願いしても駄目なのである。生産や販売計画のもと、事前に育すう場に発注しなければいけない。

当然、生き物なのでキャンセルは出来ない。

今月、ひなを導入する養鶏場が多いのは今年に始まったことではない。農園に入ったヒナも今月中旬から産卵をはじめ、産卵がピークに達し、卵殻が大きくなり卵重が乗ってくるのが11月中旬ころから。

12月、年末で街が賑わい、ケーキ屋さんが寝る間を惜しんでクリスマスケーキの仕込みをし、寒くなると家庭でも鍋が増える。すきやきには生卵が一個。おでんには家族の人数分ゆで卵が入る。

そんな需要の増加を見込んだヒナの導入なのである。

育すう場のお客さまは、目まぐるしく変化することはないと思うが私どもが仕事をはじめてから養鶏業界を取り巻く環境は大きく変わった。

実は同じ県内にありながら、県内出荷は小羽数の私たちのみ。以前はそうではなかったが。

数年前、3代目となる現在の社長さんにバトンタッチされ、年齢が近いこともあり、たまに電話で意見交換させていただく。

電話を切るとき「お互い頑張っていきましょうね」と必ず言葉を添えて下さり、元気がでる。

夏場の出荷の遅れを取り戻し、無事に新しいヒナを受け入れられたことに感謝。

あだちまさし。