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根と幹

春一番が吹いた。令和初の天皇誕生日。宇部市の特産品のひとつである「小野茶」の生産者がふたりで来園。

現在、鶏ふん堆肥の多くを搬出して下さる農家さんである。昨年は、月平均2?の堆肥を、茶葉の窒素分を補うために追肥された。今年からは世代交代で後任へ引継ぎをいただき、6?の茶畑に今後も安定して施用して下さる。

さまざまな形態の農家さんが、鶏ふん堆肥を有機肥料として、土づくりに利用して下さっているが、大半の農家の施用時期が春先と秋口に集中する。それに対し、お茶の生産者は茶摘みの時期以外は通年快く引き受けて下さり、特に夏場の施用可能なのが強みで大変助かっている。

平飼い飼育の鶏ふんは、生ふんとは違い半完熟の堆肥状態で、必要とされる方へ無償で提供させていただいている。鶏が絶えず動き回る足元の堆肥は、微生物の働きもあり、ほぼ乾燥しているものの、発酵に関しては改善の余地はまだあるように感じる。搬出量が増えれば、敷料にするスクモや、発酵の際に混ぜ込む米ヌカを増やすことができ、よりマイルドな有機肥料として幅広く利用してもらえる可能性があるかもしれない。

通常の業務にくわえて、鶏ふんの発酵や袋詰めで汗を流すのは手間がかかるが、近隣の農家さんたちの本音に寄り添い、良い循環をつくっていくことは、私たちの営みの根幹でもある。深く広く根をはり、幹を太くすることは、きっと大きな力になってくると思う。

畜産には、あらゆる営みとつながり合い、水田や畑、山地まで土地の課題をプラスに変える力があると言われる。農業や畜産に携わる人であれば、頭ではわかっている持続可能な理想の形である。だが、良い循環をつくっていくのは頭で考えるほど容易ではないのも現実。その理想と現実が近づくよう、常に求め続ける姿勢を大事にしたい。

明日も鶏たちは元気にタマゴをうみ、そしてフンをするのである。

2020.2.23 あだちまさし