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良縁

農園の営みはさまざまなご縁の積み重ねで成り立っている。
せっかくの大切なご縁をうまく結ぶことが出来なかったり、それとは逆に、ふり返ってみると、意図せぬ所でお客さまの縁が幾重にも重なっていることもある。

先月、お客さまとの良縁を数々結んで下さった、末妹の嫁ぎ先のお義母さま“えっちゃん”が68歳でお亡くなりになった。15年前に大腸がんが見つかり、その後、何箇所かの転移も切除や抗がん剤治療で克服されてきた。いつも明るく、病を感じさせない姿から周囲に元気を与え続けられた。妹夫婦の子どもたち二人も、お婆ちゃんでなく“えっちゃん”と呼んでいたように、小柄で可愛らしいお義母さまだった。

開園当初から、毎週の定期予約で多くのお客さまにタマゴの配達を代行して下さっていたが、タマゴ行き先は妹にも詳しく話されることはなかったようだ。慎ましく、ごく自然な形で販路開拓にご協力いただいたことに感謝している。

いつも受け渡しの窓口は家内になっていたことから、私自身はそれほど深い間柄ではなかったのだが、ご縁を結んで頂いた馴染みの化粧品店は、私の受け持ちとして10年以上、毎週配達に伺っている。えっちゃんと同世代の店主からは常連さんをご紹介して頂き、何気ない会話のやりとりの中から、お客さまへのアプローチの方法など勉強になることも少なくない。

ちょうど、お義母さまの容態が悪くなりはじめた半年ほど前から、そのお人柄を「人の事を悪く言わない良い人よ」と店主からお聞きした。多くの友人との良好な人間関係の理由は、当たり前の積み重ねが自然にできる方だったからだと思う。直接、お礼をすることは叶わなかったが、蒔いていただいたご縁の種を枯らすことなく大切に育んでいきたい。

いまさらながらだが、妹は良い家庭にご縁を頂いたと思う。

2020.07.27 あだちまさし