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かけがえのない風景

多面的機能という言葉で表すには、あまりにも深く大きい世界だ。
水田農業について、こうコメントした環境アドバイザーの指摘が目にとまりました。

水田で稲がたわわに実る風景は、あまりにも身近で実感を持ちづらいですが、他に類を見ない優れた農法だと解説されます。
田んぼに水を張り、稲を育てることで病害虫や雑草の発生を抑え、低施肥で地力を維持しながら何百年も連作できる。夏の暑さを和らげ、膨大な地下水や多用な生き物を何千年も育んできた水田。このはたらきの深さや大きさを考えるとき、「多面的機能」という言葉だけでは物足りなさを感じるのでしょう。

私たち農園の仕事も、近隣の稲作農家さんとの関わりで成り立っている側面があります。それは、鶏ふんを肥料として循環することで、相互に良好な関係を保っているからです。このような形で農家さんとつながっていると、農業を取り巻く環境の厳しさも共に実感します。農家の高齢化や気候変動による災害、不安定な国際情勢による輸入資源の高騰など、どれも一筋縄ではいかない問題が複雑に交差しているように感じています。

米騒動の余韻が残るなか、近隣の水田では稲刈りがすすんでいます。
毎年、吉部の稲刈り風景が地方紙に取り上げられますが、今年は親しくしている農家さんが一面を飾りました。親子で収穫をする内容が記事になり、地域の貴重な担い手である息子さんの作業風景が大きな写真で紹介されたのを嬉しく拝見しました。

また、ひと山向こうの多くの水田で稲作をされている農家さんも早物の収穫を終えて、鶏ふんを搬出するクローラーを農園に搬入されました。今年で三年目になりますが、来年の田植え前まで、週に数回ピストン運行をされます。 穏やかとは言い難い季節の変わり目ですが、近隣の農家さんの働きで、静かに季節が移り変わっていることを実感することができます。

米騒動をうけ、米の価格を引き下げるべく、市場を「じゃぶじゃぶにする」との大臣の対応が大きく取沙汰されましたが、農家さんの息づかいにふれると、ひと言では表せない不安を感じるのも正直なところです。

2025.9.26 あだちまさし