鶏インフルエンザ

農園から遠くない長門市で鶏インフルエンザが出た。数年前にも山口県で鶏インフルエンザがおきた。
比較してみると防疫体制が大きく変わった。前のときは発生農場から半径30キロ圏を対象に鶏や卵の移動がとめられた。殺処分された鶏。廃棄された卵(処理に半年を要した)など養鶏農家には損害の補償が国・県から、つまり税金が充てられた。その負担を軽減するためだと私は考えているが、半径3キロに縮小された。この変更の意図は養鶏農家には知らされない。
鹿児島県出水市で先日死んだ鶴から陽性反応が出た。安来市や鳥取市でも死んだ野鳥が陽性だった。
思い出すのも嫌な常盤公園白鳥の殺処分。
出水市・安来市・鳥取市に常盤公園で鳥はそれ以上死んではいない。とにかく殺処分が最良らしいが、一方では多額の費用で防疫圏を縮小する。
飼育されている鶏は野鳥と異なり移動しない。周辺に病気が拡散しないようにして、殺さずに経過を観察してはどうかと思う。
今回は約4万羽のうち20羽が死んだことで騒動になった。わたしの農園は約5千羽。1日で10羽ぐらい死んだことは何度かあった。あのとき検体を機関に持ち込んだらどうだったのか。この時期、農園は渡り鳥の楽園状態。
鶏を4万羽殺処分したら飼料は少なくても1日あたり40万円以上は売れなくなる。解除になるまでの日数が飼料メーカーの痛手。
きょうから長門市(焼き鳥屋の数は日本一)から鶏肉が配送されない。年末の食肉に影響がある。出せないからブロイラー農家は餌を与えて出荷解除を待つ。完全に赤字になる。加えて風評被害。前回の阿東では、私の農家は30キロ圏内から外れた。けれども県外のお客さまは「山口県の卵は要らない」と断られたケースがある。
エボラの問題では命を優先している。ところが家畜になると命を絶つことが最善とされていることに疑問がある。きょう約4万羽の命が絶たれた。
年末の不規則配達。今朝は防府市に8時。1月で3年になる「はなちゃん」との思い出の多い場所を走らなければならなかった。
人目にさらすことはちゅうちょし、防府市のペットクリニックに着いても診察室に行くには、ほかの人への遠慮があり「車で診てください」とおろさなかった。佐波川の干拓地は広々しており、1年ちかく診察の帰り道に車をとめて愛犬を放した。おやつも持参していた。3年、あの干拓地沿いの道は走ることができなかった。
今朝、思い出がたくさんあるあの場所を通過した。やっぱり胸がいたかった。