鶏を運ぶ

朝6時。気温17度。くもり、霧雨のち小雨。Iさんが午後の採卵を終えるまで、雨の影響を受けず作業ができた。Fさん休みの日曜日だったが、ほぼ予定どおりの仕事ができ感謝。

今朝、農園へ向かう途中、善和付近で馴染みの廃鶏業者さんとすれ違う。日曜日だが小倉・黒崎の食鳥処理場は稼動しているのだろう。4トントラックに2000羽、一かごに10羽詰めたカゴを200ケース積んで移動する。一旦、鶏を積み込むとトラックはノンストップで走る。暑さやストレスに弱い、高体温の鶏の移動は、これからの時期、一番もっとも神経を使う作業になる。

強い日差しで気温が上層する時間帯の運搬は、いかに注意して走っても処理場に着いた時にはグッタリした鶏が数羽ゴミ箱に捨てられる。「死んだら無駄金、無事届けられたら丸儲け」とよく話されていた。産卵効率の悪くなった鶏を運搬する商い。その命を運ぶ作業に心痛されるTさんは尊い。

今日は雛の入荷。豊北町の育雛業者さんが、孵卵場から仕入れたヒヨコを産卵前の120日まで丁寧に生育された大雛を農園では仕入れている。こちらも暑さを避け、今月から一時間前の入荷。担当者は4時すぎから積み込み、農園で積み下ろしするまでノンストップ。

いつもの「茶髪・ロンゲ・ピアス」の大男30歳が配達。先月で入社10年になったらしい。育雛場では120日出荷なので4ロットを、毎月大雛を出荷し、毎月ヒヨコを入荷する作業の繰り返し。月末は出荷配達作業が多忙を極め、鶏舎の洗浄・消毒を済ませヒヨコの受け入れ。待ったナシの作業続く。

受領サインをしながら、昨日の配達先を尋ねると「島原に5000羽」トラックを3台連ねて走ったようだ。金曜日の深夜に出発、関門トンネルから九州へ入り、都市高速を終点でおりて、鹿島方面へひたすら走って、湾岸道路から島原半島へ。帰りは高速で帰るが諫早ICまでの道のりが、朝のラッシュと重なって一時間以上かかるのが「かなりムカツク」とのこと。わかる、わかると作業しながら頷く。

湾岸道路は走ったことがないが、彼曰く「グッルと回るより早くなった」とのこと。諫早湾をグッルと回る道は私も走ったことがあると思う。評判のアイス屋さんや、自称「人間国宝」の陶芸家アラキヒロシのご自宅もグッルと回るあたりだったように思う。

深夜だと車を少なく、バイパスも増えて随分走りやすくなったと話す「茶髪・ロンゲ・ピアス」に勤続10年の貫禄を感じた。

ふと、松光学園の近くに養鶏場があったのを思い出し、私が知っている懐かしい施設や地名が聞けることを僅かに期待して
「ところで、島原の届け先は何ってとこ?」と尋ねたところ

「うーーーん。たしかイシなんとか。ようわからん。ぶっ飛ばして行って、ぶっ飛ばして帰るだけやけぇ」

これもウンウン。たしかにそうだろうと思う。

鶏の命を運ぶ彼から島原の空気を吸わせていただきました。

ありがとうございます。

あだちまさし