磯村先生お元気でうれしい


磯村千代子先生とのご縁は、民話を出版するお手伝いをした20年以上前からになる。先生の身辺でご不幸がありしばらく会うことをご遠慮していたが、きょうご自宅を訪れた。80歳にもなられたであろうか「会いたかったいね」と両手の握手でむかえていただいた「あんたぁ元気かね」「鶏は何羽になったかね」「よう働くの」とわたしのことばかり尋ねてくださる。
1時間、玄関の応接間で話をして帰ろうとすると2冊の本を下さった、平成7年8月15日発刊「わたしの終戦50周年に寄せて」は、地元の東岐波から出征して戦死した52名のご遺族と対面し、戦地からの書簡、戦後母子家庭としての苦労の聞き書が綴られていた。毎年お盆には52名のお墓に線香をたむけていると言われた。もう一冊は40年前に阿知須の古老に伝承されていた地元の民話をご自宅を訪ねてたくさんの人から聞かせていただき綴った「阿知須・ふるさと今昔」いまは山口市になった合併前の阿知須教育委員会が発行し、町内全家庭に配布したもの。
両方とも在庫は少なく貴重なものを「あんたにあげる」とくださった「足立さん、歴史とはね。天皇の歴史ではないんよ。その時代、庶民がなにを食べて、なにを着ていたのか。それが歴史なんよ」と昔つよい口調で言われた先生。わたしの生きる背骨をしっかりつくっていただいた先生である。