シャケバイに思う

北海道で鮭を加工する時期だけ若者がアルバイトに集まる「シャケバイ(シャケのバイト)」がテレビ番組になり観た。寝る場所と食べるものは用意されている。鮭の解体は鮮血をあびる重労働。季節労働という世間が言う重い暗い表情ではなく、目的のために稼ぎたいという表情は男も女もいきいきしていた。稼いで海外旅行など夢がある。
選挙戦がはじまり、街頭でマイクをむけられた人が「格差社会はいけません」「賃金をあげてもらえる政治」などの言葉を聞くとわたしは不愉快な気持ちになる。
わたしは母子家庭で、あるとき「貧乏人の子」と言われた幼い日の体験がある。その格差こそがわたしを育ててくれた。
賃金を政治のせいにするまえに「鮭」ではないが体をはって働いたことがあるのか。と言いたくなる。
政治が悪いかもわからない。けれども稼ぐ道はなんぼうでもある。
長府の乃木さん通り。レストランに木曜日は納品がある。シェフが来られる1時間前に玄関にたまごの箱を置くのがルールになっている。今朝は雨だからビニールに段ボール箱を包み置いていたら隣のミシン店のおばさんが「うちが預かろうか」と声をかけてくださった。
わたしは配達先であう人には必ず挨拶を心がけてきた。ミシンのおばさんも長年挨拶をしてきた。冷たい雨にうたれながらあたたかいものがこみ上げた。