熱帯夜が来る前に

朝6時。気温21度。晴れ。最高気温は30度近くまで上がった。

人間は先入観が先に立つからか「梅雨明けしました」と胸を張って気象庁が発表すると日差しはきつく、降り注ぐ太陽光線は暑いが木陰などで風にあたるとサラッと気持ちよく感じる。

きちんと観測していないので分からないが、2〜3日ぐらい前から同じような風を受けていたような感じはする。先入観というのは不思議なものである。

8時前からFさんが休日出勤で草刈りをしたいと申し出を受けていた。膝丈以上に伸びた気になる場所あり「自分の草刈り機を使いたい」と頼まれたので、出勤の手当てとは別に、ポケットマネーで消耗品代として千円ほど渡していた。

昨年、彼が自宅周辺を草刈りするために購入した背負い式草刈り機は7万円。私が使っている草刈り機よりグレードが随分上である。

今日のような場所を草刈りする場合、高級車のアクセルをちょっと踏み快適に運転するのと、軽自動車のアクセルを力一杯踏んで、肩こりを辛抱しながらハンドルを力一杯握り運転するぐらいの違いがあると思う。

7時前、麦茶、夏みかんサイダー、栄養ドリンク、あと「塩飴」を保冷剤とともにクーラーに入れ、彼がいつも車を止める農園入口の大きな柿の老木の木陰に置き、採卵を始める。

二週間前から産卵が下がり出し、鶏の状況を確認しながら、通常より時間をかけて鶏舎を回りはじめた。日中の気温は上昇するが、朝晩は涼しいので、今の内に体力を回復できるよう朝の照明点灯時間も5日前から少し早めた。

少しずつ好転の手応えは感じるが、まだまだ心配なことも多く、「熱帯夜」の予報前には、何とか思い描くような生産に戻って欲しいと祈りながら採卵。

8時すぎから草刈り機のエンジンが聞こえはじめ、9時前にはIさんがタンクから餌配車に落とす音。時折、近くですれ違った時に挨拶や言葉かけをしたが、採卵をする私も全身汗まみれ。

10時すぎ、だいたいノルマ範囲の草刈り終えていたFさんに「終わってええよ」と2度ほど促したが、あと少しと「あと少しの範囲」を草刈りして終了。約2時間。

今日は、ピンクのチェック柄の半そでボタンダウンシャツで通勤してきたIさん。この時間にはシャツに汗がにじみ、背中周りのピンク色具合が変化している。

ひと通りの作業を終え、15時に配達へ出掛ける。

昨日は祝日だったので、変則的な配達で毎週月曜日、金曜日に伺う「田中青果さま」に最後の配達17時30分。ここにお届けしたタマゴが野菜と一緒に明日の早朝からトラック運送され、下関大丸の開店前に生鮮食品売り場「フレッシュワンさま」に陳列されることになる。

今日も一日ありがとうございました。

あだちまさし