訪問菊 川画廊

開店時間まえの散髪店に着き1番客になった。
持世寺温泉は6番目。ゆっくりお湯を楽しんだ。
次は市内の菊川画廊。主は留守だと聞いていた。郵送でも足りる用だったが郵便受けに入れようと封筒ひとつを持参。ところが主はおられた。かたい握手で数年ぶりの再会。時間がもったいないからお茶もストーブも入れないと、主はテーブルを挟みわたしの正面の椅子に腰をおろした。
芸術とは縁のないわたしが画廊の主と親しい理由は「信仰」と「人生観」を正直に語り合えるように、さまざまな出来事が20年以上前からあった。
近況を確かめてから、最近とくに印象的な出来事などを話していたら画廊の新聞取材で記者があらわれた。
まだ話が消化不良だから、取材が終わるまで待つことにして常設の作品を眺めた。
取材が終わり、約1時間も会話がはずみ帰ろうとするとき菊川さんが数学者、岡潔を話題にした。書棚には「紫の花火」「対話 人間の建設」「日本のこころ」「葦牙よ萌えあがれ」「春風夏雨」「日本民族」と表題だけでも難解で頭がクラクラしそうな著書が並んでいる。
赤間神宮を「岡潔」の学びの場に集いがあり菊川さんは、松月院の末次ご住職とともにメンバーらしい。書棚には分厚い「乃木希典日記」があり、日露戦争の日々が活字になっていた。関心はあっても読みにくい。
また再会を約束して握手で別れた。

昔、菊川さんが今夜はボクがご馳走すると「くっちゃん」という安い居酒屋に案内した。料理はない。店主はスーパーにある魚の干物を焼いてくれるだけ。その煙のなかでもコップ酒を片手に人生を語った。
菊川さん。今は酒はやめた。毎早朝に常盤湖(6キロ)を歩いて10年を過ぎたらしい。
人に話しても信じてもらえない希少な鳥を目撃したこともある。
カワウソも見える人には見えるのです。と言ってもらえた。