朝6時。気温20度。雨のちくもり。最高気温25度。湿度高め。
6時30分。車の荷台へタマゴを満載して出発。雨足が強くなり1軒目のお客さまの軒先で長靴に履き替える。
7時50分。18軒目のお届けを終え、西宇部小学校前から右手に坂を下る。
宇部市内西部が見渡すことができ、一番先には「宇部興産大橋」が見える。ここから見下ろす場所を半日配達してまわる。少し腹筋に力を入れ「ヨッシ」と気合。
ここから小野田駅前へ抜ける道は朝のラッシュが上下線とも激しい。宇部駅から小野田駅まで間、高校が4つあり、保育園もいくつもある。雨の日は、駅、学校、保育園の送迎に合わせて、傘をさしながら自転車を走らせる学生で運転に神経をつかう。
8時50分。30軒目のお客さま。駐車場に車を入れる際に、年配のご主人が「何か話しがある」の雰囲気で待っている姿をバックミラーで確認する。
車を降りるなり「前回もらったタマゴが冷蔵庫で爆発した」と割れた殻と白身と黄身で汚れたパックを差し出される。
電話でのクレームと違い、顔を合わせての会話なので、ご主人の「立腹具合」を確認しながら、できるだけ丁寧に状況を確認させていただく。
冷蔵庫に入れているタマゴが「爆発」する原因は思い当たりがある。ただ、お客さまへ原因を押し付けがましく話さないよう、いつものように、ゆっくりと話を聞く。
先は急ぐが「慌てない。慌てない。」
5パック届けた最後の1パックに全部ヒビが入り、中の3つは中身が飛び出し爆発した。とおっしゃる。
お客さまと一緒に冷蔵庫を確認する。「やっぱり」と感じたが、ひととおり事の顛末をお聞きする。
最近、冷蔵庫の調子が悪く痛んではいけないものだけを、倉庫から引っ張り出した旧式冷蔵庫に保管されていたらしい。
「貴重なタマゴだから」と冷気が一番あたる冷風口に近くで一週間保管していたところ、5パックあるうちの最後1パックが爆発した模様。
三段階ある冷気の調整は「強」。古い冷蔵庫で冷気が安定せず、チルド状態でタマゴを凍結し、膨張した卵白が殻を割ったのだろうと説明し「なるほど」と納得していただく。
そのタマゴはどうしたか尋ねると、やはり「貴重なタマゴ」だがらと前置きし、火を通して食べたとのこと。
古い冷蔵庫の調整を「中」にして、冷気が直接あたらない場所に保管して下さいとお伝えする。
配達時間に敏感でよく携帯電話が鳴るお客さま。
卵焼きにして食べてが「どうもなかったわぁ」と安心して大笑いされるご老人に「こんな時こそ電話下さいね」とお伝えした。
農場にも何度か足を運んでいただいたことがある。「貴重なタマゴ」とおっしゃって下るお客さまには心から感謝。
多くのお客さまに支えられての仕事。今日も一日ありがとうございました。
あだちまさし。