インフルエンザ


農園をはじめた10年まえ、鳥インフルエンザはアジアのどこかでたまにあり他人事だった。いまでは毎日仕事をすることは綱渡りのような緊張感がある。
わたしの農園で発生しても10キロ四方でも連帯責任。春まで何事もなく経過しても来年がある。石灰散布と野鳥対策しかなく、これだけの手立てで安心を得ることは到底ない。シカゴ穀物市場からは穀類の値上がりニュースが伝わる。こんなときこそ元気に生きなければならない。
母にあいに行った。背負ったわたしの腰を心配していた。洗濯物を預かり、なにか介護らしいことがしたいのでリクエストを聞いたら、靴下を履き替えさせてくれと言う。骨と皮の足を撫でていたら「めんたし、めんたし」とお礼を言う。帰りに陛下にあって3万円もらって帰れ。連絡はしてあると。