笑顔が気持ち良かった

朝6時。気温22度。くもりのち晴れ。最高気温29度。手元の温度計では最高31度になっていたが、風も心地よく湿度が60%を切り、直射日光を受ける場所以外では汗をかくことなく仕事が出来た。

一日の疲労感も少なく、8月になって初めて体が一息ついた感じがする。鶏たちも同様だろうと思う。産卵の爆発的な回復は望めないだろうが、追い詰められるような暑さが続いた毎日、少し心のゆとりが持てた。

今朝は雛の入荷日。納品時間は朝6時。15分前に農園に着いたが、いつもの彼が一足先に到着していた。

以前は、車内でタバコを吹かしながら携帯を触っていたように思うが、今朝は彼なり精一杯の挨拶。気持ち良かった。

私はボツボツと採卵をはじめ、彼はFさんが洗浄してくれた鶏舎へ350羽の雛を入れる。ケージ飼いと違うのだが、巣箱の位置を鶏が覚えるように配慮して納品してくれる。

2年ぐらい前から彼と言葉のキャッチボールを始めたように記憶している。

人柄や性格などは、月に一度、受領サインを交わす時間では多くを知ることが出来ないが、毎月、彼の顔を見て、いろんなことを考え胸が「ホッ」とする。

今朝は珍しく彼の方から「申し訳ないんですけど、積み込みのヤツが間違えて349羽しかいませんでした。どうしましょうか?」とのこと。

朝6時半前で会社や社長に電話するものの連絡が取れず、私に尋ねて来た。

ケージ飼いと違うので一度、鶏舎に放してしまうと1羽少ないことは目視での確認は無理で、産卵率でも判断できない。

349羽を丁寧に数えながら納品してくれ、1羽欠品したことを会社や社長が休んでいる時間に一人で頭を悩ませてくれた彼に感謝した。

「請求金額から1羽分マイナスして下さい」と伝えた時の彼の安堵する笑顔が、また気持ち良かった。

知らず知らずに交わしていた会話が1羽の欠品を知るキッカケになった。

ありがとうございます。

あだちまさし