菖蒲の花をひとくちで

朝5時前、朝食と新聞を並べてカーテンを開ける。

朝日が差し込み、照明をつけずに新聞が読める季節になった。

照明を必要とせずに新聞の活字が読める明るさというのが、鶏の活動時間のひとつの目安である。

鶏は視野が確保できる明るさになると活動をはじめ、この明るさがなくなると体を休め睡眠する。

夏至まであと一時間ほど活動時間が長くなり、この時間を基準に日長管理をして産卵活動を促すのが生産者の仕事。

早朝の涼しい時間に農園作業を手伝い、小野田市内の配達へ出かけ、いつも暖かく出迎えて下さるウエスギのおばあちゃんから和菓子を土産に頂いた。

菖蒲の花を形どった和菓子を丁寧に紙に包み手渡して下さった。

農園へ戻り、翌日の出荷準備を終えて、草刈り機を担ぐ前に、その「菖蒲の花」をパクッと口に入れてから草刈りを始める。

運動場で鶏が遊ぶ姿を横目で確認しながら、日没近くまでアクセルを握って園内を移動しながら草刈り。

日没間近の19時半ごろ、名残惜しそうに運動場で遊んでいた数羽を竹箒で鶏舎に入れて本日の作業を終えた。

珍しく口にした和菓子の甘さが夕食まで腹の虫をおさえてくれて感謝した。

あだちまさし。