残したくないもの

昨日、一頭のイノシシを駆除した。体長50センチのウリボウなので一匹というべきか。

数日前に逃がしてやったウリボウが土曜日の日中、農園内で闊歩した。

追い払ってもきりがなかったので午後から覚悟を決めて、ネットまで追い詰めて止めを刺そうと棒切れを振り下ろしたがケツにあたり仕損じた。

すぐ手の届くところだったのに、なぜか気後れのようなもので手元が言うことを聞かなかった。

日曜日も早朝からウリボウが闊歩。見た目は愛くるしいが、ここまま居座られては困るので前日同様、ネットまで追い込み棒切れを用意する。

取り逃がしては厄介なので、Fさんにカゴを持たせ、私が叩いたところを生け捕りにして猟師に引き渡そうと作戦を変更して獲物に近づく。

生け捕りにするので、前日より肩の力を抜いて棒切れを振り下ろしたのだが、幸か不幸かウリボウの眉間にゴッツと当たり一発で絶命してしまった。

厄介な存在ではあるが棒切れを握る私の手には後味の悪さだけが残る。

昨年、本来、農園を担当していた猟友会の方から、近所の猟師に担当を引き継いでもらう際、役所の害獣担当者にも一役買ってもらいスムーズにことが運んだ。

当初は、これで大丈夫と安堵したが、野生動物が境界線を越えて人里に下りてくる理由を詳しく調べていくうちに駆除以外にも見直さなければいけないことに多々行き当たった。

山林の荒廃は私ひとりの力では何とも出来ないかもしれないが、意識しながら自然と付き合うことで、私に出来る何かがあるはずとも感じる。

駆除される動物も本望ではないだろう。そして、駆除の後味の悪さは後の人へは残したくないものある。

あだちまさし。