曲がったキュウリ

夏を感じさせる一日。最高気温30度。

汗をかきながら農園の作業を終えて、配達の途中「栽培屋さと」のサトちゃん宅へ立ち寄った。

収穫したキュウリが並べられた作業場で冷たい炭酸水をご馳走になりながら30分ほど実のある会話をさせてもらった。

自家消費用と前置きして「曲がったきゅうり」のお裾分けを頂き、野菜とタマゴの規格外の話題。

味や鮮度には問題ないものの、店頭で販売が難しい規格外はつきもので、何かと生産者の頭を悩まさせるものだ。

規格外を販売する先を確保するのも大事だが、これを減少させていく努力は絶えず必要だと感じている。

野菜の場合もそうだと思うが、その答えは生産現場にあり、私の場合、鶏に聞いてみるしかないが鶏には言葉はない。

変化する季節のなか、ひとつひとつ問題点を手探りで探す仕事は大変だが、結果が少し見えはじめると作業意欲も増すものだと思う。

生産者の目線だと、味や鮮度に問題がないことをキチンと説明して販売すれば良いと錯覚しがちだが、日々、台所に立つ主婦の目線に立つと不揃いな野菜やタマゴは少々厄介モノであるに違いない。

野菜や生き物の恵みを商売とする私たちにとっては、ありがたく恵みを頂くこととは少々の矛盾を感じる規格外の商品だが、

生産者としての、こだわりを大事にしつつ、お客さまの立場を考え規格を安定させる努力は大事だと再確認した。

帰り際、20本ほどある不揃いキュウリの中から、小さくて曲がっているが艶の良いキュウリをサトちゃんが指さしながら「これ美味しいっすよ」と教えてくれた。

コレは、コレで、生産者でしか味わえない醍醐味(ちょっとオーバー?)で、ちょっとした優越感もあったりする。

あだちまさし