朝食を楽しみに寝る秋白し

朝食を楽しみに寝る秋白し  冨士眞奈美
(2018.08.18 毎日新聞 季語刻々)

「高温注意情報」着信なし。連日続いた最高気温35度以上となる注意喚起を促すメールが今日はなかった。

明日の夜から雨の予報である。今回は空振りなしと祈りたい。

高温で一気に下がった産卵率がお盆明けの数日間の涼しさで少し上昇し、先週末から低空飛行に戻った。

ものを言わない鶏の体調は息遣いや食欲、その結果である産卵などから観察するが、涼しさで上昇の兆しが見えたことで信じていたことに自信が持て、気持ちが幾分か楽になる。

あと一息の辛抱といったところか。そうであって欲しい。

朝食を食べたり食べなかったりしていたが、半年ほど前から決まった時間に同じ量を食べるようなった。

「楽しみ」とまではいかないが、朝の決まったことを淡々とこなし飯を口に運んでいる。

白飯、みそ汁、ヨーグルト、梅干し1個、らっきょう3つ、黒豆小さじ1、高野豆腐ふくめ煮。このメニューを毎朝繰り返す。

夕食後、小鍋に「いりこと昆布」をつけて就寝、朝から弱火にかけてだしをとりながら配膳して朝食を食う。

みそ汁の具は豆腐、油あげ、干ししいたけ。椀に刻み葱と干し海苔を入れ、これに出来上がった汁を注ぐ。

それほど楽しみという訳ではないが、椀から湯気と一緒に海苔の良い香りがたつと、自然と腹が「ぐぅ」となる。

頭では淡々とこなしているつもりだが、なぜか腹の虫が反応するのだ。最近、この習慣が朝の楽しみになりつつあると感じている。

秋の兆しが待ち遠しい。

あだちまさし。