日別アーカイブ: 2025年1月29日

紅つるぎ

ローカル紙で定期的に掲載される「こども新聞」。先日、広がる「スマート農業」と題した紙面が気になりました。
最近、耳にする機会が増えてきた「スマート農業」。自動運転の農業機械やドローンといったデジタル技術やデータの活用によって、効率良く農産物を育てる方法が広がっています。昨年、普及を促す国の支援措置を定めた新しい法律も成立しました。

紙面では、自動運転のトラクターが大きな田園を耕す様子、新しい品種のりんご「紅つるぎ」が大きな写真と図、わかりやすい言葉で解説してあります。なかでも私が気になったのは、国の研究機関で試験中の「紅つるぎ」というりんごです。

従来、枝が横に長く伸びるりんごの木は、収穫作業の際に一本の木につき何度も脚立の位置を変えるのに労力を要するそうですが、紅つるぎは枝が横に広がりにくい特徴を持ち、脚立の位置を変えずに収穫が可能です。将来的には現在開発中のロボットでの収穫を見据えて試験中のようです。写真にうつる、生垣のように並んだりんごの木に淋しさを感じますが、きびしい現状を農家が抱えていることが想像できます。

記事の終わりのほうで核心にすこし触れられ、「農家の人は2000年には240万人いましたが、23年には116万人と半分以下に。約8割が60歳以上で、20年後には30万人ほどになるでは、と国は心配しています」と、淡々と書かれています。

農園では、堆肥の搬出作業で地域の農家さんとのつながりを大切にしていますが、近隣の耕作放棄地や離農状況をみますと、実感としては前述の数字よりもハイペースで農家の減少がすすんでいるように感じています。

一昨年から、スマート農業に投資する農家さんが自走式の堆肥散布機械が利用されるようになり、その恩恵を受け作業効率があがっています。導入にあたっては、様々な思いを抱えながら前へ進む決断をされた農家さんの気持ちもよく理解できます。おそらく少ない手間で多くの作物を育てることは、良いことばかりではないでしょう。

失われていく物も見据えながら、受けとめる「しなやかな心」が試されます。折れないしなやかな心を培うには、日々の経験の積み重ねが大切のように思います。

2025.1.28 あだちまさし