そうでしたか


四年まえ、隣接の田んぼで働かれる老夫婦の爺ちゃんが亡くなられた。小柄で寡黙なかただったが、両手の指の太さに驚いたことがある。牛馬で耕す時代。夜通し鎌であぜ草を刈った。そんな昔のご苦労を草むらに腰をおとして何度か聞いた。爺ちゃんが亡くなり田んぼは雑草であれるから草刈りはわたしがしている。
船木のお客さまにお届けするとき、隣の奥さんが頭を下げられるのでいつもご挨拶はしていた。きょうも笑顔で会釈された。犬が吠えるのではじめて声をかけた「犬は何歳ですか」ナナは14歳とわかった。それから奥さまが話しはじめた。
そのお爺ちゃんの孫にあたり、その田んぼの稲刈りもした。農園が建築されるようすも知っている。わたしにすれば他人の老夫婦とのご縁は終わっていたが、私を遠くからみておられた人がいた。世間はわたしの尺度ではない。善い生き方も悪い生き方もお天道さまはご覧になっている。
ハマチとサンマを家内が刺身にしてくれた。ミョウガとスダチも食べる直前に摘んできた。レンチョウの酢漬けにアサリの味噌汁。麦焼酎はお湯割りにした。朝夕で3時間ほど草刈りしたので身体が半分とけている。