宇宙船浜山号


神戸震災の1年ほどまえに車検が約1年あるトラック(1トン)を14万円で買い趣味に使っていた。浜山小学校避難所に置いて自由に使ってもらった。救援物資の運搬。被災者の自宅からゴミの運搬。名古屋を往復したこともあった。休むことなく酷使してクラッチは摩滅した。6年生の卒業記念の材料がなく「トラックに絵を描かせてください」と頼まれ、ひまわりの絵などが卒業生にペンキで描かれて宇宙船浜山号と名前も書かれた。
4月末に復興祭もおわり避難所が閉鎖された。現地に残っていた牧君に「車検もきれているから、費用は払うから廃車にしてくれ」と頼んだら、数日して浜山号は牧君が運転して宇部に戻った。彼の気持ちがわかり、ふたりで洗車し、神事でお礼の祓いをしていただき廃車にした。
三田市から避難所に通った親友の香山君。整理整頓が苦手な宮崎の牧君。牧君の親友で歯科医の息子で虫歯だらけの松田君。わたしの右腕で活躍した女装が趣味の高山君。白髪だからライオン丸と命名した佐藤豊さん。勉強堂の横山じいちゃん。掃除ばかりしていた金光教教師の福原先生。飛び入り参加でボランティア殉職の徳田親分。避難所のまとめ役で腕力の田中君。肝っ玉母さんの片山さん。混乱時を走りぬけた仲間たちが宇宙船浜山号とともに懐かしい。