気が重い金曜日


6時すぎ、あたたかい餌を猫に持って行ったら昨夜の餌はきれいに食べて姿はなかった。2種類の餌ふた皿を定位置に置いて、まだ暗い農園を出た。出てすぐの道路に農園猫によく似た黒い猫が車にはねられ死んでいた。引き返して別の場所に移して夕方埋めることも考えながら、それはできなかった。
周南市から戻る戸田駅前の2号線。対向車線でなにか異変を感じた。散歩中の体重20キロぐらいの茶色の犬が飼い主の手を離れ、リードをつけたままトラックにはねられた。その直後の現場を通過した。飼い主は国道に走り、片手で首輪をつかみ、片手は内臓を抱いて歩道に戻った。そのあとはわからない。
けれども猫を見過ごした罪悪感がおおきくなった。
疲れきって母に会いに行ったら機嫌が悪く、わたしの服装、散髪に文句を言い「あんたの体が臭いのはキツネを食べたからじゃないか」とまで言う。疲れた体も気持ちも萎えたが親子にかわりはない。なんとか会話を成立させて農園にもどった。2種類の餌ふた皿は食べられていた。猫の姿はない。生きていてくれと神頼み。