白髪の田舎ランナー


身体に不自由があったら不幸せか。お金がなければ不幸せか。逆に考えてみると、不自由のない身体とお金があれば人生は幸せか。そんなことを最近とくに考えることが多くなった。
配達に出発して小野の林道を走っていると男がランニングしている。白髪まじりだったから歯科医の福田先生だと直感した。宇部市内の医院を閉めて田舎で開業。大学病院で口腔外科医の奥さまとは別居で田舎暮らしをされている。儲かるわけがない田舎の歯科医は、月曜も休診日にしている。それは自分のやりたい畑やマラソンをしたいからと聞いたことがある「えらい難儀そうな走りですね」と助手席の窓を開けて走りながら声をかけた「月曜はこの山道を13キロ走るのです!」と汗をぬぐいながら笑顔だった。
わたしは仕事以外で汗をながすような生きがいをもたない。人との比較ではなく、わたしが懸命にできることをはじめなければならないと感じた。