はい。5羽。

朝6時。気温24度。晴れ。鶏の出荷。約600羽。

120日齢から産卵をはじめた鶏を、産卵効率が落ちてくる500日齢前後で廃鶏として集荷する。今日はその日。

朝5時半前、Fさん休日出勤。私が農園に着いた時には捕鳥カゴを軽トラで運搬中。朝早くからの仕事に感謝しながら一緒に作業をはじめる。

以前は一度に200羽を食鳥処理場へ軽トラで運んでいたが、ある事情で業者さんに集荷していただくことになり、一度の出荷ロットが3倍近く。太い針金の先をU字に曲げた1メートルの棒で一羽ずつ捕鳥していたが、量が増えると、それでは間に合わず、昨年からFさんが考案製作した「追い込み」にて捕鳥。

網戸を3枚を立てに番線でつなぎ、壁に面してL字に置いた「追い込み」にFさんが鶏を追い込み、一枚の網戸でフタをすると壁と網戸の間に追い込まれた鶏が囲まれるしくみ。彼は追い込みの中で鶏を捕まえ、私が外で捕鳥に鶏を入れる作業。

彼は腰をかがめ、素早く鶏の足を捕まえて5羽単位で私に手渡す。捕鳥カゴは10羽詰めなので、彼から手渡された5羽ずつをカゴに入れ、作業の邪魔にならない場所に積み上げながら、次のカゴを用意する繰り返し。

作業効率は格段に上がったが、彼が決めた役割分担で仕事を進めると、どうも私の作業の方が忙しい。一度に追い込む端数は60〜80羽。彼から渡された5羽をカゴに詰め振り向くと「はい。5羽。」カゴを積み上げ新しいカゴのフタを開け顔を上げると「はい。5羽。」

こんな調子で600羽の鶏をカゴに収め出荷する。途中、息が上がり、自分からは弱音をあげることはできないが、彼が休憩しようと提案してくれたら諸手を挙げて賛成しようと考えながら一時間半。一気に作業を済ませ、二人で少しの間休憩する。

それから彼は業者のトラックが横付けする場所まで600羽を運び、私はいつもの採卵作業をスタート。Iさんが10時前には給餌を終えたので、今日はさすがにバトンタッチ。Fさんも後片付けなど終え本日の業務終了。

なるべくストレスの少ない環境で鶏を愛情をかけ飼育し、元気なタマゴを産んでくれることを心がけているが、鶏はペットではなく生産動物。

鶏の命があってこその営み。鶏に感謝の気持ちを感じる一日の作業。

毎日、タマゴを産んでくれてありがとうございます。

あだちまさし