あの人にあいたい


楽しく聴いているラジオビタミン、今週は「あの人にあいたい」というテーマがあり、全国のリスナーがそれぞれに思いをメールで届けていた。初恋の人・織田信長・ショパンなど多彩な顔ぶれが、その理由とともに紹介された。
聴きながら、運転しながらわたしがあいたい人は誰だろうと月曜から考えていた。たくさん該当者はいるけれど、この人ひとりと言われたら「ばあちゃん」である。小さいころは琴芝駅の近くに住んでいた。隣がナガオという大工の老夫婦だった。わたしの子守りは「西田アサ子」という大柄の女性が働く母に雇われて我が家に岬から通っていた。
アサちゃんにもあってみたいが、キセルできざみ煙草を吸い、髪には・・わたしの記憶では四国のサンゴという飾りのついたピンをしていた。子供がないのでわたしを「すっちゃん」と呼んで我が子のようにしていた。夏はタライに水をはって行水。
子供の口にあわない食べ物はばあちゃんが一度噛んでからわたしに食べさせてくれた記憶がある。中学生のとき母親と喧嘩になり、丸尾に移り住んでいたばあちゃんの家まで歩いていった「かあちゃんに言うなよ」と晩ご飯を食べさせてくれ、帰りのバス代小遣いをくれた。高校生のとき、週末にはよく泊まりに行った。ばあちゃんは中央病院(当時はサナトリウムと呼んでいた)で亡くなった。お葬儀の日は学校を休んで母とお見送りにいった。泣けてしかたがなかったことを覚えている。いまでも細面で美人だったばあちゃんの記憶は鮮明。あの人にあいたい。