検問王子さま


秋空の佐波川沿いの県道を走るお昼前。対向車線にパトカーが停まり警察官が次々に車を止めて検問をしていた。通過するときに警官と目が合った。ジッと視線をそらさないのでスピードを落としてわたしも視線を向けた。通過してバックミラーをみたら警官がわたしの車にチョコンと頭を下げた姿が見えた。その態度がとても気になり200メートルほど走って路上で方向転換をして戻った。その警官が警棒でわたしを止めた。
いつも御大のご自宅で酔ったわたしを知っている笑顔だった「おまえ松村か!(唐戸魚市場松村社長のご長男)」と奥さまによく似た笑顔の警官に窓越しに声をかけた「やっぱり足立さんでしたね!免許証を拝見します」と満面の笑み「おまえには見せられん」と冗談を言いながら差し出した「教育を終えて新米ですが現場に出ています」と同僚に聞こえないように小声で言う。免許証をしっかりチェックして終わり。その場でUターンして同僚に聞こえるように大声で言ってやった「松村!頑張れよ!」と。素敵な笑顔でわたしに敬礼で応えてくれた。