庶民が歴史の主人公


80歳ちかくでも磯村千代子先生(もと教師)はお元気。20年ちかく前、喫茶ラ・メールで砂浜に遊ぶカモメをデッキでながめながら先生は真顔で「ええかね。天皇の歴史を勉強することも大切。けれど歴史は庶民のなかにある。その時代、何を着て何を食べて、なにが娯楽だったか」その言葉が最近、山本一力さんの作品を読みながらわかりつつある。
若いとき新田次郎の山岳小説や司馬遼太郎を選んでいた。50歳もすぎると生き方を問われるような本を手にした。しかし生き方は活字でわかったとはいえないように感じていた。
山本一力さんの作品は、ページをめくるたびに江戸のシーンが映画のようにひろがる。庶民の生活が立体的にうきあがる。そのなかに親子の情愛や、大儀に生きる庶民の心意気が縦横に展開する。いそがず江戸に身をおきながら読書を楽しむ生活になった。
NHKラジオ児玉清さんのあとは、女優・脚本家でむかしはアイドル歌手にグラビアモデルが経歴の中江有里さんがきょうから担当され本をたくさん紹介された。
呉明美さんから半年ぶりのお便りは「今週結婚します」だった。