大好きな鶏が死んだ


井戸には恵みの雨。早朝の大雨は困る。4時に目がさめ布団のなかで自分に都合のよいことだけあればよいと思う。雨は夜中にしっかりふり、朝は太陽が昇るという漫画の世界である。しかし雨は横着な気持ちを笑うように本気でふりはじめた。雨具の完全装備になったら腹も決まり、定刻の5時半前から採卵をはじめた。暗がりで一度足を滑らせて30数個のタマゴを地面に落としてしまった。
4年以上前、1羽の鶏がわたしになついてきた。ほかの鶏は逃げるのにこの鶏だけは足元に寄ってくる。約1年半で鶏肉になるけれど、わたしはこの鶏だけは時期がきたら別の鶏舎に移して、毎朝の対面を楽しみにしていた。その鶏が今朝は鶏舎の隅で横たわっていた。寿命かもしれない・・・このまま放置しておけばほかの鶏からつつかれて痛々しい姿になる。抱きかかえて出した。目をあけてわたしの顔を見てまた目をとじた。作業場の横に新聞紙を広げて寝かした。
山口から美祢・三隅を走り、西長戸リゾートホテルに年末のご挨拶にまわり240キロを走り終えて雨の農園に戻った。愛犬より先に鶏を見に行ったら冷たくなっていた。