母機嫌悪く


午後から母にあいに行った。手押し車に荷物を乗せて靴をはいてベッドに腰掛けていた。悪い予感はあたった「これから退院するから」とわたしをにらんだ形相は普通ではなかった。洗濯物だけ預かり母を放置することもためらいがあり長期戦を覚悟した。
30数年、工学部の草刈りや掃除をして、女手ひとつでわたしを育てた、わたしのことが大好きな気丈だった母が、病気で高齢とはいえわたしを汚い言葉でののしるから悲しい気持ちになった。しばらく怒り続けて疲れたのか瞼が細くなった。寝かせて毛布をかけて部屋を出た。詰所に寄り「きょうは機嫌が悪くお手数をおかけするかもわかりませんが」と頭を下げた。
今夜は積雪するかもわからない。野良猫にしっかり餌を置いてきた。