母がありがたく


日曜日の朝は母の朝食をながめるのが楽しみだった。転院した病院は、午後からの面会がルールでそれはできない。金曜日の午後から会いに行く時間しかない。
母の故郷、出雲の観光ガイド本を持参して駅名・そば屋・寺に神社に老舗和菓子店。わたしの話題に遠くをみつめて笑顔で「よう知ちょるよ」と何度も返事をした。わたしを認知した男性と夫婦の幸せはなく、わたしを育てあげることが母の人生だった。いまごろ感謝しても遅いけれど。洗濯物を持って帰るとき「汚しておるかもわからん」と小声になった。
愛犬はさまざまなカビに菌がみつかり、注射と2種類の飲み薬が処方された。毎週1万5千円近くの出費がしばらく続く。わたしの支払い限度をこえており家内に頼んだ。